2008 Fiscal Year Annual Research Report
培養系を用いたショウジョウバエGSC/ニッチ・システムの解明と分化系の開発
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
20116003
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
仁木 雄三 Ibaraki University, 理学部, 准教授 (00134164)
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Keywords | ショウジョウバエ / 生殖幹細胞 / in vitro / ニッチ / シグナル伝達 / 細胞分化 |
Research Abstract |
多細胞生物における生命活動は、機能的な細胞を産生することにより、維持されている。成体の組織では、血液、皮膚、生殖細胞など様々な細胞が、生涯を通じ、生産され続けているが、それぞれに自己再生能と分化能を持つ未分化な幹細胞が存在している。そして、これらの幹細胞はニッチと呼ばれる特別な微小空間で維持されているが明らかになりつつある。ショウジョウバエの生殖幹細胞とニッチは、雌雄ともに形態的に容易に同定できるため、GSC/ニッチ・システムの最も優れたモデルとして、種々の遺伝学アプローチや免疫組織化学的手法を駆使して、GSCの分裂に関するシグナル伝達経路や接着接合によるニッチの実態が明らかにされてきた。しかし、ニッチは極めて限られた空間に存在するため、種々のリガンド(成長因子)の定量的な解析やシグナル伝達様式の実体は、解明されていない。これらの重要な問題をアプローチするには、in vitro系の構築が必要不可欠である。我々は、既に雌のGSCが分化できない腫瘍化突然変異体bamを用い、GSCと卵巣性体細胞幹細胞の細胞株の樹立に成功している。本年度は、オスにおいて、精原細胞の不完全分裂、減数分裂さらには最終的な精子を分化する過程をin vitroで再現する系の開発に成功した。この培養系により、精原細胞の分裂・分化過程には、ホルモンの一種であるエクダイソンが重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、メスにおいては、少数の細胞からも、細胞株を樹立する方法を開発し、幼虫の卵巣からニッチ前駆細胞と始原生殖細胞からなる安定的に細胞株の樹立し、これらの細胞間での細胞接着やシグナル伝達経路を明らかにすることができた。
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