2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養系を用いたショウジョウバエGSC/ニッチ・システムの解明と分化系の開発
Project Area | Regulatory Mechanism of Gamete Stem Cells |
Project/Area Number |
20116003
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
仁木 雄三 茨城大学, 理学部, 准教授 (00134164)
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Keywords | 生殖幹細胞 / ショウジョウバエ / ニッチ / in vitro |
Research Abstract |
多細胞生物の成体の組織において、生涯を通じ、血液、皮膚、生殖細胞などが継続的に生産され続けているのは、それぞれに自己再生能と分化能を持つ未分化な幹細胞が存在しているためである。これらの幹細胞はニッチと呼ばれる特別な微小空間で維持されていることが明らかになりつつある。ショウジョウバエの生殖幹細胞(GSC)とニッチは、雌雄ともに形態的に容易に同定できるため、GSC/ニッチ・システムの最も優れたモデルであり、GSCとニッチ細胞との相互作用やシグナル伝達様式が明らかにされつつある。我々は、既に、メスのGSCと卵巣性体細胞幹細胞の細胞株の樹立に成功している。本年度は、この樹立した細胞株を用い、体細胞性幹細胞内で発現しているnon-coding RNAの解析をハーバード大医学部との共同研究により明らかにしだ.また、in vitroで卵原細胞特有の同調的不完全分裂を誘導するシステムを構築し、細胞分裂過程で見られる生殖細胞特有の構造の形態変化などを明らかにした。きらに、オスにおいて、精原細胞の不完全分裂、減数分裂さらには最終的な精子へ分化する過程をin vitroで再現し、精原細胞の分裂・分化過程には、ホルモンの一種であるエクダイソンが重要な役割を果たしていることや核内受容体やエクダイソン受容体などの発現パタンの詳細を明らかにした。また、ニッチ細胞の細胞株化にも成功し、始原生殖細胞との相互作用をライブイメージングにより調べるとともに、これらの細胞間での細胞接着やシグナル伝達経路を明らかにすることができた。
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