2022 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習に関する国家政策および地域主導計画の東アジア的視座からの検証
Project Area | Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society |
Project/Area Number |
20H05808
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井山 竜平 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (30304702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 景三 西九州大学, 子ども学部, 教授 (30193824)
上田 孝典 筑波大学, 人間系, 准教授 (30453004)
小山 竜司 神奈川大学, 法学部, 教授 (40892906)
松本 大 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (50550175)
李 正連 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60447810)
西川 一弘 和歌山大学, 紀伊半島価値共創基幹, 教授 (60516459)
山口 香苗 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, その他(招聘研究員) (80843896)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | 生涯学習政策 / 東アジア / 社会教育 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、本領域における心理学・社会学・文化人類学からなる一連の計画研究から得られた知見を、社会実装するための道筋を検討することを主要課題の一つに据えている。 研究者が、その研究成果が社会に生かされることを望み、取り組む際、第一義的に想定されがちなパートナーは、第一セクター(政府部門)、ないしは第二セクター(企業部門)であろう。ただしそこでは、それぞれの思惑や目指すところに有利なところが切り取られて利用される場面も往々にしてありうる。そうした障壁を越え、生活者の世界を生活者自身が、研究的知見をも活かして発展させていく道筋が問われている。 そこで、2022年8月に南三陸において開催された「生涯学」第4回領域会議においては、被災地の10年のあゆみに着目し、地域の未来にとってリスクの大きい計画が現れた場合、それに未然に気づき、学習・研究し(時に頼りにできる研究者、政策担当者を見つけ出して協働し)、行動して、より良い計画に修正させていたく力の具体をめぐって、南三陸「かもめの虹色会議」など、現地の動向に学ぶ機会を用意。一連の計画研究のメンバーにも、そうしたボトムアップアプローチに学んでいただく機会をつくった。 生涯学習政策検証グループでは、これまでの取り組みの延長に、日本の生涯学習政策の台頭期を担っていた元文部科学省官僚、研究者に加え、実際の自治体社会教育行政の担当者との協議の場を持ち、その視点からの生涯学習政策の検討を行った。 東アジア研究交流グループで企図してた対面による東アジアレベルでの研究交流は持ち越され、日本の研究者を中心とした訪問団による台北・基隆の社区大学の調査を実施するにとどまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響を受け、当初想定していた東アジアレベルでの研究交流が展開できなかったことは事実としてあるが、その間にも、オンラインを活用しての研究交流を継続させている。その延長に、次年度こそは、科研期間内に最も実現したいと願っていた、沖縄を核とした日本、韓国、中国、台湾との研究交流計画が進められている。 各国・地域の関係者からも、一見すると日本本土からすれば特殊と捉えられがちな沖縄をあえて核に据えることで、東アジア全体を繋げて捉えられる視座を得られるのではないかとの期待の声を少なからず得られており、そうした後押しもうけながら、次年度以降の事業実施にむけての準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の予算に加え、2022年度の繰越金を活用して、コロナ禍での影響より開催を延期していた、東アジア生涯学習研究フォーラムを沖縄県名護市にて、韓国、中国、台湾からの生涯学習研究者、実務家を招聘し、実施する。 沖縄は、第二次大戦・地上戦の惨禍をくぐり、集落の共同をベースに復興の「地域おこし」に取り組んできた。戦後は米占領政策下にあり、「本土」の戦後教育改革が及ばなかったことから、本土で展開された公的社会教育の条件整備は現れない。ほとんどの地域が集落公民館を拠点に自力再生の努力を重ねてきた。そして近年、本土において地域「共同」が次第に薄れていくのに対して、沖縄では、集落公民館を基盤とした、いわば「共同」の現代的展開が新しい動きとなってきた。 また、本フォーラム会場となる名護で展開されてきた社会教育は、博物館・図書館を拠点として活動が拡がり、集落文化の再生だけでなく、在来資源の保存の努力を重ねて産業振興(アグー豚等)にもつながったり、市史編纂室が拠点となって、集落単位の地域史(字誌)づくりが大きな潮流となるなど、「本土」にはない独特の展開がみられる。 こうした特徴を持つ沖縄の社会教育に、東アジアの社会教育・生涯学習研究者が集って学び論議し合い、各地の集落(沖縄)・社区(中国)・マウル(韓国)の自治と活動を育む生涯学習政策をめぐっての比較研究協議を行う。
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Research Products
(12 results)