2021 Fiscal Year Annual Research Report
全身臓器の生理的・病理的免疫状態遷移の脳による検出機構
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
20H05899
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和氣 弘明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90455220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足澤 悦子 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (00446262)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
全身臓器の生理的・病理的免疫状態遷移を中枢神経系がどのように検出するのかを包括的に解明することを目的としている。本年度は血液脳関門および脈絡叢に関して研究を進めた。全身炎症に対する脳免疫の遷移状態を検証するために、全身性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスを用いた。既知のSLEモデルであるMRL/Faslpr (MRLlpr)がNPSLE病態モデルとして使用できることを確認するため、①行動試験による精神症状評価、②フローサイトメトリーによる脳各領域のCD3+細胞数解析によってNPSLE症状評価を同一個体で実施した。本研究ではMRLlpr にCSF1-R 阻害薬であるPLX3397 (PLX)を投与することで、SLEにおけるミクログリアの機能も評価することとした。13-14週齢の雄のMRLlprは有意な不安様症状、短期記憶障害は認めなかった。不安様症状(Open field test)は18週齢においても検出されない報告が散見され、また、短期記憶障害を伴うのは16週齢以降であることが知られることから、より高週齢で行動試験を行い、NPSLEに伴う精神症状を確認する。均一なモデル作成のため、誘導性NPSLEモデルの評価も行っていく必要がある。 同個体の脳各領域における炎症を評価できるか検討した。MRLlpr群において、大脳皮質、海馬でCD3+細胞数が有意に増加していた。脈絡叢でも増加傾向であった。MRLlpr+PLX群は大脳皮質、海馬でCD3+細胞をより増加させていた。MRLlpr群では大脳皮質や海馬の炎症を伴っていた。また、ミクログリアはリンパ球の大脳皮質、海馬への浸潤を制御する可能性がある。大脳皮質、海馬、脈絡叢のCD3+細胞数は互いに相関しており、SLEモデルの脳領域ごと・個体ごとの炎症を検出できていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体循環系の免疫細胞組成の解析が十分に進捗できた
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Strategy for Future Research Activity |
MRL-lprは遺伝子変異をもつSLE自然発症マウスであり、出生から発症までの時期が異なり、単一時相での観察は症状に不均一性がある。均一なモデル作成のためには誘導性のNPSLEモデルが解析に適すると考えられ、TLR-7作動薬誘導性SLEモデル(Yokogawa et al., 2014; Kobayashi et al., 2021)がNPSLEを模しうるか検討した。TLR-7作動薬であるイミキモドクリーム(IMQ)をマウスの耳に投与すると、4週間で血清中の抗dsDNA価が上昇し、SLEを発症することが報告されている。このモデルを使用し、5週間投与後から不安様症状評価としてOpen field test、短期記憶障害評価としてNovelty Y-mazeを実施し、NPSLE症状を評価した。IMQを5-6週間投与すると不安傾向となり、短期記憶が低下傾向となった。今後生体内脈絡叢可視化モデルが樹立されたたことから、NPSLEの脈絡叢を介した脳へのリンパ球浸潤機序を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)