2023 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic control of immune and inflammatory cell behavios by peropheral nervous system
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
20H05901
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 優 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (10324758)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度には、肝臓の門脈周囲マクロファージについて統合的な解析を行った。あらゆる臓器では血流は動脈から組織内の毛細血管を経て静脈へと還流していくが、肝臓だけは門脈を介して腸管から直接血流を受ける点が特異的な性質である。腸管からは経門脈性に様々な栄養素のみならず細菌やその断片などの催炎症物質が肝臓に大量に流れてくるため、何らかの炎症制御メカニズムが存在するはずであろうと示唆されていたがその実態は明らかではなかった。申請者は肝臓の生体イメージング系を駆使して、レーザー焼却によって組織局所の炎症を定量的に評価する系を確立した結果、門脈周囲ではそれ以外の部位(中心静脈周囲など)に比べて、同一の催炎症刺激に対する免疫応答が有意に抑制されていることを発見した。さらにこの結果から、門脈周囲のみ存在する抗炎症性のマクロファージを発見したが、これは元々肝臓に常在するクッパ―細胞と呼ばれるマクロファージが門脈から流入してきた腸内細菌やその代謝物に反応して、局所で適応して形質変化したものであることが分かった。この門脈周囲の抗炎症性マクロファージの機能を阻害すると、慢性脂肪肝炎(NASH/MASH)や原発性硬化性胆管炎(PSC)などの発症につながる結果も得られ、肝臓における常在性マクロファージの「適応能」が、肝臓のレジリエンス機能を担っていることが示された。さらには、本研究では門脈周囲の交感神経周囲の神経関連マクロファージについて解析を行い、網羅的シングルセルトランスクリプトームにより当該マクロファージ特異的マーカー分子の探索や作出したリポーターを用いて神経との関連についてイメージング解析、肝門脈周囲の交感神経を光操作で活性化させることで、マクロファージの分化や機能の変化について解析などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に令和5年度から遂行している肝臓での神経関連マクロファージの研究が大きく進捗しており、その関連プロジェクトが本年度にNature誌に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓での神経関連マクロファージと神経との相互作用の実体的解析のために、学術変革領域内での連携により光遺伝学的手法などの新たな解析ツールの導入を行っていく。
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