2011 Fiscal Year Annual Research Report
MDS原因遺伝子の同定と解析を通じた細胞分化制御システムの解明
Project Area | Molecular mechanisms of cell fate determination in the cells that undergo stepwise differentiation to multiple pathways |
Project/Area Number |
22118005
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲葉 俊哉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)
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Keywords | MDS / エピゲノム制御 / 骨髄性白血病 / 7番染色体欠損 / 発がん抑制遺伝子 / 遺伝子欠損マウス / エンドソーム代謝 |
Research Abstract |
本研究班(北村班)の目的は、転写調節システムやエピゲノム制御による細胞分化への関与を明らかにすることである。当計画研究班では、造血前駆細胞の分化の混乱が、骨髄異形成症候群(MDS)などの疾患発症へとつながるメカニズムを、ヒト7番染色体欠損責任遺伝子としてわれわれが単離したeff-1/eff-2遺伝子を軸に解析する。 1.Fbxl10は、ピストン脱メチル化酵素をコードし、eff-欠損と協調して発がんに関与する。すでに作成したFbxl10欠失マウスとFbxl10過剰発現マウスをeff-2欠損マウスとかけ合わせ、系の確立と、マウスの経過観察による血液疾患発症パターンの解析を進めた。 2. eff-2欠損マウスにMNU(突然変異誘発剤)を投与したマウスの経過観察を行っていたところ、B6系マウスにMNUを投与した時の常としてT細胞系のリンパ性腫瘍が生じるものの、投与量を減少させたり、投与のタイミングを遅らせたりする工夫により、骨髄性腫瘍がMNU非投与群に比較して前倒しで発現することが判明した。腫瘍細胞の全エクソンシーケンスを行い、eff-2欠損と協調して造血細胞の分化を混乱させる遺伝子を同定する予定である。 3. 片アレル欠失効果(Haploinsufficiency)による発現低下メカニズムを解析する目的で、7q染色体上の遺伝子のプロモータやヒストンの修飾状況を次世代シーケンサを駆使して網羅的に解析した。今年度は、昨年度に引き続き、細胞株より抽出したDNAを用いたパイロットスタディを継続するとともに、一部、商業ベースで得られる臍帯血を材料に分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の柱の一つは、マウスの掛け合わせによる、MDS発症の解析である。これらの実験は時間を要するが、これまでのところ順調に進んでいて、経過を観察中である。もうひとつの柱である次世代シーケンサによる解析も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで大きなトラブルもなく、計画通りに進行している。遺伝子改変マウスの掛け合わせで得られたマウスの経過観察と、次世代シーケンサによる解析を進めていく。
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