2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
26102003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50281100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Shin Jiyoung 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30622295)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 反芳香族 / π電子系 / シクロファン非局在化 / 積層 / ポルフィリン / シクロファン / 非線形光学応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度合成に成功した官能基化した反芳香族ノルコロールを前駆体として用いることにより、積層型反芳香族ノルコロール二量体を合成することに成功した。積層型反芳香族ノルコロール二量体の構造について単結晶X線構造解析により明らかにした。興味深いことに積層型反芳香族ノルコロール二量体をノルコロール単量体と比較すると、その反芳香族性に由来する常磁性環電流が大幅に減少していることが分かった。また、二重結合と単結合の結合体も二量体の方が単量体よりも小さくなることが分かった。また、紫外可視近赤外吸収スペクトルも大きく変化し、800-1000 nmに単量体には見られない新たな吸収帯を示した。MCD測定および理論計算から、この吸収は縮退軌道間の遷移によるものであると帰属することができた。これらの結果は反芳香族化合物を積層させるとその反芳香族性が大きく減少することを示す初めての実験結果である。SchleyerらおよびFowlerらは、理論計算によって積層した反芳香族が芳香族性を示すという予測を報告している。本研究の結果は、この理論的予測をサポートするものであると考えられる。 一方、アミノフェナントレンの酸化的二量化反応を用いることによって、アザコラニュレンの合成に成功した。これまでヘテロ原子を有するバッキーボウルの合成が検討されてきたが、骨格の周辺部ではなく内部にヘテロ原子をもつバッキーボウルの例はほとんどない。また、アザコラニュレンの構造や物性ならびにC60包摂挙動について明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度合成に成功した官能基化した反芳香族ポルフィリンを前駆体として用いることにより、積層型反芳香族ポルフィリン二量体を合成することに成功した。さらに、NMRスペクトルや吸収スペクトルおよび理論計算により、反芳香族ポルフィリンが積層するとその反芳香族性が大幅に低下することを明らかにすることができた。 さらに骨格内部に窒素原子を有するおわん状π共役化合物を合成することに成功し、そのC60包摂能やラジカルカチオン生成について明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
水素結合などの非共有結合相互作用を用いて高度に積層した反芳香族ポルフィリンを有する超分子を構築し、その構造や物性を調べる。
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Research Products
(56 results)