2002 Fiscal Year Annual Research Report
嫌悪刺激及び報酬に関わる帯状回吻側部とその線維連絡部位の役割
Project/Area Number |
00J03706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 啓一郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 前部帯状回 / 報酬 / 嫌悪 / ニューロン / サル / 情動 |
Research Abstract |
ヒトを被験者としたPETやMRIの研究、サルの破壊実験などから、前部帯状回は侵害刺激などの嫌悪刺激の予期や回避、食物や水などの報酬の予期や獲得など、動物が生存する上で不可欠な判断や行動選択に関わっていると考えられている。報酬と嫌悪刺激に関わる前部帯状回の役割を神経細胞レベルで調べるために、報酬あるいは嫌悪刺激と連合した色の手掛かり刺激を用いて、弁別課題遂行中のサル前部帯状回から単一神経細胞活動を記録した。通常条件では、赤色は嫌悪刺激、緑色は報酬に連合している。コンピュータモニター全体に緑色が呈示されたとき、サルがレバーを押し続けると報酬を与えられる。赤色が呈示されたときには1秒以内にサルがレバーから手を離せば嫌悪刺激から回避できる。逆転条件を用意し、赤色は報酬、緑色は嫌悪刺激に連合させた。通常条件と逆転条件を入れ替えると、サルは数試行はエラーするが、その後は正答した。 サルが手掛かり刺激の色を見て、報酬か嫌悪かを判断できず、エラーの多い時期と、穂色と報酬・嫌悪との関係を判断できる正答の多い時期とで、活動の異なる神経細胞が見つかった。 また、直前の試行が嫌悪試行であるか、報酬試行であるかによって影響される神経細胞が前部帯状回に存在することがわかった。直前試行による影響は、次の試行で色の手掛かり刺激が呈示されるとき、すなわち、次の試行でサルが嫌悪刺激まで続いた。 報酬の種類を2種類にし、また嫌悪刺激および、サルが正答してもエラーをしても報酬も嫌悪刺激も与えないニュートラルの試行を導入した。この課題を遂行中の神経細胞活動は、現在記録中である。 以上の結果は、前部帯状回が手掛かり刺激の意味を判断することに関与していることを示唆する。
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Research Products
(2 results)