1989 Fiscal Year Annual Research Report
プロイセン教育改革期におけるペスタロッチ教授法の導入過程の研究
Project/Area Number |
01510132
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
大崎 功雄 北海道教育大学, 教育学部旭川分校, 助教授 (10002635)
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Keywords | プロイセン改革 / メト-デ / 基礎教授 / 人間教育 / 国民教育 / 教育のオ-トノミ- / ゼミナ-ル / ノ-マン・インスティテュ-ト |
Research Abstract |
1.基礎的作業として、ペスタロッチ教授法導入過程に関する史・資料を、国内は勿論ドイツ及び関係諸国からマイクロフィルム等で収集・分析に当たった。 2.研究全体の分析視角として、1808年のF.vomシュタインによる国家改革・行政改革の開始期に当たってのペスタロッチ教授法(メト-デ)の位置付けと教育改革の論理をまず明らかにした。この中で、政治・社会改革の枠組みから導出される教育改革の課題と教育改革の独自の論理とが、特にW.vonフムボルトにおいて交錯し、教育のオ-トノミ-の自覚が一部において形成されていたことを確認した。 3.具体的作業としては、ペスタロッチ教授法導入過程の時期区分を行い、今年度は主として、プロイセン改革期以前と改革初期におけるメト-デ受容の立場を明らかにした。特に、改革期以前において、プロイセン国王がペスタロッチ教授法の調査を命令するプロセスを明らかにすることにより、この時期におけるメト-デ受容の立場の種々相を明確にした。(1)国民教育の一環としての基礎教授の改革を目指す立場からのペスタロッチ教授法評価(Gneisenau)、(2)貧民教育の立場からメト-デを理解するもの(K.Witte)(3)身分制秩序の維持のためにメト-デの限定的効果性のみに着目する立場(国王サイド)(4)上層階層子弟の基礎教授と上級教育へのメト-デの適用を図るもの(J.E.Plamann)などがこの時期に形成された。又、ペスタロッチとメト-デ評価に重要な役割を果たした新ベルリン誌上の諸論文などを検討することにより、ペスタロッチ評価の推移が明らかになった。更に、人間教育と一般的陶冶の理念が教育改革の理念になる時期において初めて教育制度改革と結合してペスタロッチ教授法は系統的評価・検討の対象となる。 4.研究成果は、教育史学会での発表及び大学紀要において行った。 5.今後は、プロイセン教員養成制度改革を視野に入れて、メト-デ導入の展開を明らかにしたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大崎功雄: "プロイセン教育改革期におけるペスタロッチ教授法の導入過程に関する-試論-その(一)" 北海道教育大学紀要(第一部(C)). 40-2. (1990)
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[Publications] 大崎功雄: "プロイセン教育改革期におけるペスタロッチ教授法の導入過程に関する-試論-その(二)" 北海道教育大学紀要(第一部(C)). 41-1. (1990)
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[Publications] 大崎功雄: "プロイセン教育改革期におけるペスタロツチ教授法の導入過程についての-試論-国家改革と教育の自律性を巡って-" 教育史学会第33回大会発表要綱収録. 70-71 (1989)