2002 Fiscal Year Annual Research Report
流体の臨界点近傍における温度擾乱伝搬と対流不安定性に関する研究
Project/Area Number |
01J00342
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石井 孝治 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 臨界点 / ピストン効果 / 対流不安定性 / 熱伝達率 |
Research Abstract |
流体の臨界点近傍では,比熱や圧縮率など物性値が大きく変化する.比熱の増大により熱はほとんど伝わらないと考えられていたが,現在では,波動により伝搬されることが知られている.しかしながら,熱伝搬に関する詳細な解析や重力場中における対流不安定性について,あまり解明されていないのが現状である.本研究では,臨界点近傍の流体中での温度擾乱伝搬と重力場中における対流不安定性について実験を行い,さらに数値解析を行っている. 本年度は,まず,重力場中において臨界点近傍CO2が封入された水平流体層を下面から加熱した実験を行った.流体層の下面から加熱すると,ピストン効果の影響により上下壁面から対流が発生することが観察された.また,加熱面付近にサーミスターを配置し,熱伝達率を測定した.その結果,臨界点近傍に近づくに従い熱伝達率は大きくなり,温度に対して-0.25乗で大きくなることがわかった.さらに,1次元数値シミュレーションを行い,数値解析的に熱伝達率を評価した.その結果においても,温度に対し-0.25乗で臨界点に近づくに従い大きくなることがわかった.しかし,その値は実験のものに比べ小さく浮力対流の影響が大きいことがわかった.また,微小重力場中での熱伝達についても,落下塔を用いて実験を行った.現在解析中である. 次に,重力場中における対流不安定性について解析を行った.対流発生だけに着目し,流体を非圧縮であると仮定した場合の流体力学的な方程式を導出した.それらの方程式を固有値方程式になるように展開した.その固有値方程式を解析すると,非常に小さなRa数により不安定化することがわかり,また波数の大きいプルーム状の流れが発生することが示された.これらの結果は,実験と定性的に一致する.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Maekawa: "Convective Instabilities Induced in a Critical Fluid"Adv. Space Res.. 29, 4. 589-598 (2002)
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[Publications] T.Hiejima: "An experimental study on instability of flows near the critical point"Proc. of Drop Tower Days, International Workshop on short-term experiments under strongly reduced gravity conditions. 109-113 (2002)
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[Publications] T.Maekawa: "Universality in Convective Instabilities Induced in Critical Fluids"Proc. of The 12th International Heat Transfer Conference. 483-488 (2002)
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[Publications] T.Hiejima: "An experiment on flow instability of near critical fluid using drop tower"Proc. of the 18th Japan Microgravity Application Conference. 72 (2002)
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[Publications] K.Ishii: "Heat transfer near the critical point of CO2"Proc. of the 18th Japan Microgravity Application Conference. (2002)
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[Publications] 石井孝治: "臨界点近傍流体中の対流不安定性と熱伝達"日本流体力学会年会2002講演論文集. 21. 412-413 (2002)