2002 Fiscal Year Annual Research Report
意味論的パラドクスの解決、および同パラドクスの発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
01J02242
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
津留 竜馬 東京都立大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 真理 / 有意味性 / 嘘つきのパラドクス / 規約T / 意味論的パラドクス / 真理の理論 / 強化された嘘つき / 報復嘘つき |
Research Abstract |
本年度は、嘘つきパラドクスを解決するための理論で、最も新しい理論である「真理と有意味性の理論」について研究を行った。この理論は、マクドナルドという哲学者が「On Meaningfulness and Truth」という論文で発表したものである。(Journal of Philosophical Logic. 29)この理論のとくちょうは、真理述語だけでなく、当の言語自体の表現が有意味であることを表わすための有意味性述語をふくむ言語が構成されているところにある。これは、嘘つきパラドクスを解決するための理論が常に悩まされる「報復嘘つきのパラドクス」に対処するためのものである。私はこの理論について調べた結果、この有意味性述語は、有意味な表現の範囲を正しくとらえていないことを明らかにした。それは、この有意味性述語により無意味であると判定された文で真な文が存在するためである。そのため、この理論もパラドクスの解決に失敗していることになる。
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