2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温固体内水素挙動の電気化学的解明と高温水素遮断材料開発への展開
Project/Area Number |
01J03037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
錦織 徳二郎 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 溶融塩 / 電気化学 / 水素吸蔵 / 拡散バリア / ERD / 熱起電力 / アンモニア電解合成 |
Research Abstract |
1,窒化チタンコーティング中の水素溶解度を高温で測定することを目的として、独自に製作したERD法を高温で行うための新規なチャンバーを用い、水素化チタンを用いて測定を行っている。前年度においては、小型ヒーターからノイズが発生することや、深さ方向の分解能が低いことが課題であった。本年度は、ノイズ対策や、スリット径と検出位置の最適化を行った結果、さらなる改善は必要であるものの、水素濃度の見積もりは可能であることがわかった。この装置を用いて、様々な水素濃度に電気化学的に調整した水素化チタンを、300℃付近まで昇温して測定を行った結果、測定時間内(〜5時間)では水素濃度はほとんど変化しないことが分かった。恐らく、空気中で形成した薄い表面酸化膜が水素遮断層となったためと思われる。このことから、窒化チタンコーティング中の水素溶解度の検討を行う際に、比較試料として既知水素濃度の水素化チタンを用いることができると考えられる。 2.前年度に提案した、溶融塩中での水素・窒素ガスからのアンモニア電解合成法について、さらに詳細な検討を行った。この方法では300〜400℃程度の常圧下で合成が可能であり、現在、高温高圧で行われるハーバーボッシュ法に取って代わる可能性のある、画期的な方法である。本年度は、生成アンモニアの定量方法を改善した結果、70%以上という極めて高い電流効率でアンモニア合成が可能であることを明らかにした。この詳細についてはJournal of The American Chemical Society誌に発表した。 3.エネルギー媒体としてのアンモニアの可能性に着目し、アンモニアを直接燃料として用いるアンモニア燃料電池に関する研究にも着手を始めた。現在までに、電解浴の選定と測定時に用いる参照電極の最適化など、測定装置構成に関して検討を行った。 4.前年度に開発した、226℃とい非常に低い融点を持つ新規なアルカリハライド浴LiBr-KBr-CsBrについて、機能性材料創製のための電解浴として用いるためのモデルケースとして、クロムの電析を試みている。現在までに、電解条件によって電析物の緻密性や平滑性が大きく変化することを確かめた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Murakami, T.Nishikiori, T.Nohira, Y.Ito: "Electrolytic Synthesis of Ammonia in Molten Salts under Atmospheric Pressure"J. Am. Chein. Soc.. 125(2). 334 (2003)
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[Publications] H.Konishi, T.Nishikiori, T.Nohira.Y.Ito: "Thermodynamic properties of Dy-Ni Intermetallic Compounds"Electrochim. Acta. (掲載予定).
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[Publications] T.Kasajima, T.Nishikiori, T.Nohira, Y.Ito: "Hydrogen Electrode Reactions in A New Alkali Bromide Melt"Electrochem. Solid-State Lett.. (掲載予定).
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[Publications] T.Murakami, T.Nishikiori, T.Nohira, Y.Ito: "Thermodamic Investigation of M-H System in Molten Salt and Its Application to M-H Type Thermogalvanic Cell"J. Electrochem. Soc.. (掲載予定).
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[Publications] 伊藤靖彦, 錦織徳二郎: "「携帯機器用燃料電池の実用化」第3章2節"技術情報協会. (2002)