2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03704
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 一美 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 免疫グロブリン / クラススイッチ / 体細胞突然変異 / AID |
Research Abstract |
AID(Activation-Induced cytidine Deaminase)は、RNA editing cytidine deaminase familyの新規のメンバーであり、免疫グロブリンのクラススイッチ組換えおよび体細胞突然変異に必須の分子である。そこで、AIDがクラススイッチ組換えおよび体細胞突然変異に関わる詳細な分子機構の解明を目的に研究を行っている。本年度は、以下の成果が得られた。 1.AIDがRNA editing酵素として機能しているかどうかを明らかにするために、AID結合タンパク質およびAID標的分子の同定を目的とした。昨年度に確立したAIDの過剰発現・免疫沈降の系を用いてAID複合体を免疫沈降し、共沈するタンパク質およびRNAの同定を引き続き行ったが、AIDの発現量が低いなどの理由から、安定した結果が得られなかった。そこで、AIDをestrogen受容体のホルモン結合ドメインとの融合タンパク質として不活性な状態で大量に発現させ、4-hydroxytamoxifenを加えることによって活性化する系を用い、条件の改善を図っている。 2.B細胞以外の細胞においてもAID発現により体細胞突然変異が誘導できるか検討した。体細胞突然変異をモニターすることのできる人工基質を導入したマウス線維芽細胞株NIH3T3を作製し、これにAIDを強制発現させたところ、B細胞の免疫グロブリン遺伝子に認められるのと同程度の頻度で人工基質に突然変異が導入され、変異の塩基置換のパターンも免疫グロブリン遺伝子の体細胞突然変異と類似していた。これは、昨年度の報告とあわせると、AIDが構成的かつ組織非特異的に発現している分子を用いてクラススイッチ組換えおよび体細胞突然変異を行っていることを意味し、AID結合タンパク質および標的分子の同定を目指す上で重要な知見となった。 3.AIDの過剰発現がクラススイッチおよび体細胞突然変異に及ぼす影響、さらに染色体転座や癌化におけるAIDの関与を検討するために、昨年度に作製した、AIDを組織非特異的プロモーター下に発現するマウスの解析を行った。その結果、このAIDトランスジェニックマウスはT細胞リンパ腫および肺のmicro-adenomaを発症し、平均3-4ヶ月齢で死亡することがわかった。 現在、染色体転座や突然変異の有無など、詳細な解析をすすめている。また、コンディショナルなトランスジェニックマウスの解析もすすめている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Okazaki IM et al.: "The AID enzyme induces class switch recombination in fibroblasts"Nature. 416. 340-345 (2002)
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[Publications] Yoshikawa K et al.: "AID enzyme-induced hypermutation in an actively transcribed gene in fibroblasts"Science. 296. 2033-2036 (2002)
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[Publications] Okazaki IM et al.: "Activation-induced cytidine deaminase links class switch recombination and somatic hypermutation"Ann NY Acad Sci. (in press).