2002 Fiscal Year Annual Research Report
福祉制度改革と貧困者の生活保障-アメリカ公的扶助法の基本的理念
Project/Area Number |
01J06195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 有志弥 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アメリカ公的扶助法 |
Research Abstract |
アメリカ公的扶助法の全体像を把握するために、今年度は、第一に前年度に引き続き連邦政府及び州政府の公表する報告書、その他の学術論文を参照し、連邦の補助金により、州が扶養児童を有する貧困家庭に対してどのような具体的な政策を実施しているか、それら政策の効果及び影響について調査を行った。その結果、州の政策において、貧困家庭の中で、労働可能な者に対して、職場で直接的に役に立つ技能を習得するための職業訓練を行う等、より積極的に、より迅速に貧困者を自立させるための政策を実施しているといった全体的な傾向が見て取れた。このような傾向は、大都市圏においてより顕著で、教育水準の低い貧困者に対しては、職場での礼儀作法や職場での適切な服装の指導等、最低限のマナーの訓練といったことまで行われている。このような実践的な政策がとられている背景としては、連邦法が、州への補助金支給の要件として、生活扶助費を支給する貧困家庭の減少を具体的な数値目標を挙げて課しているからであると考えられる。今年度、第二に行ったことは、扶養児童を有する貧困家庭に対する政策だけでなく、高齢者、障害者、また、その他の貧困者のための法制度の把握に努めたことである。この作業は、中途であり、現在のところ、各制度の概要の把握にとどまっている。
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