2002 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞の翻訳制御に介在する新規GTP結合蛋白質GSPT/eRF3の機能解析
Project/Area Number |
01J06350
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
打田 直行 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 翻訳制御 / mRNA分解 / 核酸分解酵素 / リボソーム |
Research Abstract |
当研究室では以前に、翻訳終結因子GSPT/eRF3がpoly(A)鎖結合因子PABPと相互作用することを見出した。PABPは,翻訳開始因子eIF4Gを介して翻訳効率を制御し,またmRNAの分解過程に関与すると考えられている蛋白質である。したがって,GSPTが翻訳効率あるいはmRNAの分解過程へ関与する可能性が考えられる。それを受けて私は、in vitroの実験からGSPTとPABPとの相互作用がリボソームのリサイクリングで機能する可能性を見出した。また、私は以前にGSPTの制御因子としてNM23/NDPKを見出し、GAPTとの相互作用はNM23/NDPKの酵素活性に依存しないことを見出した。 本年度、以上を踏まえて実験を行い、以下に示す新たな知見を得た。 1)新たに生細胞を用いて翻訳を評価できる系を作成し、その系を用いてGSPTとPABPの結合を阻害した場合に翻訳に与える影響を検討したところ、GSPTがPABPとの相互作用が、前年度にin vitroで示したのと同様に、リボソームのリサイクリング機構に関与する可能性を見出した。また、in vitroでの実験から、GSPTが関与する翻訳過程はmRNAが初めて翻訳される第一回目の翻訳ではなく、それ以降の翻訳過程であることが示唆され、GSPTがリボソームのリサイクリング機構に関与することが確かめられた。 2)GSPTがPABPとの相互作用を介してmRNAの分解過程に関与する可能性を検討するために、まずPABPと相互作用すると想定される核酸分解酵素の同定を行った。その結果、ヘテロ二量体からなる核酸分解酵素の単離に成功した。 3)NM23/NDPKにはの2種のアイソフォームが存在するが、その両者ともGSPTとの相互作用が確認された。 本年度得た知見のうち、1)に関してはJournal of Biological Chemistry誌に報告した。
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Research Products
(1 results)