2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロキャピラリー操作-顕微分光法による単一微粒子への固相抽出過程の研究
Project/Area Number |
01J09737
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
關根 朝美 筑波大学, 化学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 物質移動 / 単一微粒子 / 顕微分光 / 収着 / ポア拡散 / 細孔サイズ / 分子サイズ |
Research Abstract |
これまでマイクロキャピラリー操作-顕微吸光法を用いてローダミン6G(R6G)及びメチレンブルー(MB)がシリカゲル微粒子へ物質移動する過程について議論を行ってきた。その結果,MBは脱着時において表面での吸脱着が非平衡であることが示された。一方,R6Gは収着,脱着過程ともに同じ機構であり,シリカゲル微粒子内移動過程はポア拡散支配であることが示唆された。本研究では物質移動過程の微粒子細孔サイズ依存性について測定を行った。シリカゲルは種々の細孔サイズ(3-30nm)のものを用い,R6G及びMBが単一シリカゲル微粒子に収着する過程について測定を行った。その結果,微粒子内拡散係数(D_0)の値は細孔サイズが増加すると増加し,吸着平衡定数(吸着係数と飽和吸着濃度)の値は細孔サイズに依存して変化したが,それぞれの細孔サイズにおけるシリカゲルの比表面積を考慮したところ,飽和吸着濃度は一定値を示した。微粒子内拡散現象にはポア拡散と表面拡散の2つの過程が考えられており,これらは吸着平衡定数や細孔サイズと分子サイズの比を含む式で表される。R6Gに関しては得られたD_0と吸着平衡定数の関係からポア拡散支配であることがわかり,さらに細孔サイズと分子サイズの比に依存する値(H)を求めることができた。この求めたHに対して分子サイズをパラメータとしたシミュレーションは実測値を再現し,R6G分子サイズとよく一致した。一方,MBに関してはポア拡散支配を仮定して実測から求めたHの値はシミュレーションで再現できなかった。そこで,表面拡散を考慮した結果,表面拡散係数が負の値となった。拡散係数は負の値をとることはないため,表面拡散の寄与ではないことがわかる。したがって,MBにおいては収着過程にも非平衡の吸脱着が寄与しているものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Nakatani, T.Sekine, T.Negishi: "Encyclopedia of Surface and Colloid Science Vol.3"Marcel Dekker, New York. 11 (2002)