1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640412
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 真一 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (10078917)
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Research Abstract |
2,2'ービス(ジフェニルホスフィノ)ー1,1'ー(ビナフチル(略称:BINAP)を配位子としたルテニウム錯体を触媒として用いたアリルアルコ-ル(ゲラニオ-ル・ネロ-ル)の不斉水素化反応で〜98%eeと非常に高い選択性を得ているが、さらに触媒設計の上で新たに参考とするために、添加物を加えることによるルテニウム錯体の活性について検討を行った。とりわけ、温度効果が著しくよく、反応温度を0℃に制御することにより、反応速度は通常(20℃)の3〜4倍速くなり、エナンチオ過剰量も〜100%eeと向上した。これは、添加物(過塩素酸および塩酸)を加えることにより発生すると考えられるカチオン性あるいはジハライド錯体が活性が高くなり、従来エナンチオ面選択性に問題があったものを解決したことになる。また、添加物として塩酸を加えることにより、反応系中で生成するとされるジハライド錯体の活性とエナンチオ面選択性が良かったことは、今後の触媒の設計に大きく役立つものと思われる。 以上述べた結果と以前に得られた結果とを統合し、不斉配位子としてBINAPおよびその誘導体、DIOPあるいはCHIRAPHOSなど代表的な二座配位ホスフィンを用い,金属としてはコバルト(Co),ニッケル(Ni)、チタン(Ti)などを用い金属錯体の合成を試みた。例えば、コバルト(III)を用い種々の2座配位ホスフィン錯体([CoMel_2]:[CoMe(binap)]、[CoMe(diop)]、[CoMeー(Chiraphos)]など)の合成を行った。触媒反応に用いるにはその純度がかなり重要な点となるため、純度の高い錯体を得るべく現在検討中である。これら錯体については構造解析を行うとともに不斉反応への応用を行ってゆく。 ニッケルおよびチタン錯体についても同様に合成および触媒反応への応用を行ってゆく。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Inoue,S.;Takaya,H.;Tani,K;Otsuka,S.;Sato.T,;Noyori,R.: "Mechanism of the Asymmetric lsomerization of Allylamines to Enamines Catalyzed by 2,2'ーBiS(diphenylphosphino)ー1,1'ーbinaphthylーRhodium Complexes" J.Am.Chem.Soc.12. 4897-4905 (1990)