1991 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石症の原因と予防に関する研究:時に細胞膜の蓚酸輸送担体の機能異常に関して
Project/Area Number |
02807147
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
西淵 繁夫 福井医科大学, 医学部, 講師 (40218186)
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Keywords | 刷子縁膜小胞 / 蓚酸 / クエン酸 / 細胞内カルシウム濃度 / 膜輸送 / 赤血球膜 |
Research Abstract |
1.腎刷子縁膜における蓚酸輸送担体の機能測定のため、ラットにhydrochlorothiazide(以下、サイアザイド)懸濁液を21間連日投与し、蓚酸、クエン酸の尿中排泄に関し検討を加えた。 (1)尿中蓚酸排泄は、サイアザイド投与により尿中濃度は減少、一日尿中総排泄量は有意に増加した。しかし、ラット腎刷子縁膜での陰イオン交換による蓚酸輸送系には有意な影響を与えなかった。 (2)尿中クエン酸排泄量はサイアザイド投与により尿中濃度、一日総排泄量とも有意な上昇を示した。14ーCクエン酸を用いた実験では、ラット腎刷子縁膜のナトリウム依存性のクエン酸輸送系には有意な影響を認めなかった。尿中クエン酸濃度と一日尿量はサイアザイド投与の有無にかかわらず正の相関を示した(r=0.593,p<0.01) (3)8週齢ラットおよび25週齢ラットの腎刷子縁膜小胞におけるクエン酸の取り込みの検討より、加齢に伴いラット近位尿細管刷子縁膜のナトリウム依存性のクエン酸輸送系の有意な機能低下を認めた。 2.赤血球膜の蓚酸輸送系の機能測定法の検討 (1)Cー14蓚酸を用いて赤血球内への蓚酸のflux rateの測定をおこなったが、30℃においては再現性のある安定した結果を得ることができず、臨床応用は困難であった。 (2)ヒト赤血球膜における蓚酸の透過性を測定するため、細胞内カルシウム濃度測定装置を用いてghost赤血球内のカルシウム濃度測定法を検討した。現在、赤血球内のカルシウム濃度を平衡状態においた後、赤血球外に蓚酸を加え、赤血球内のfreeのカルシウムの減少率より赤血球膜の蓚酸輸送機能を測定する方法を検討中である。
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