2002 Fiscal Year Annual Research Report
硬脆材料の極微細機械加工によるメゾスコピック機能表面創生
Project/Area Number |
02F00075
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 雅彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARAVINDAN Sivanandam 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 微細塑性加工 / 臨界押込み深さ / 無欠陥加工 / 硬脆材料 / ガラス / DNA / たんぱく質 / 化学的吸着性 |
Research Abstract |
近年、シリコンや水晶などを母材とし素材表面に微細構造を組み込んだ新しい機能材料やデバイスの開発が盛んに行われている。ところがこれらの材料の多くは硬脆材料であり、加工欠陥を防ぐためその加工方法はフォトリゾグラフィやスパッタリングなど化学的加工に限られている。そのため加工形状の自由度が低い、加工効率が悪いなどの問題があり、新機能材料の開発にとって大きな足枷となっている。そこで本研究では塑性加工など機械的な加工法により硬脆材料表面に極微細な三次元加工を施す方法を検討し、さらに微細加工による表面機能を創出することを目的とする。 本年度は主に微細押込み加工による機能表面創生を検討した。 まず2種類の微細押し込みダイヤモンド工具を作製した。一つは先端角60度の鋭い鑿状の工具であり、もう一つは1μmX1μm×1μmの突起を多数有する剣山状の工具である。これらの工具を用いてガラス、石英、シリコンウェーファ、水晶ウェーファに対する押込み加工実験を行った。これらの実験より、硬脆材料であってもある押込み深さ以下では変形による亀裂は生じず、無欠陥の塑性加工が可能であることが判った。またこれらのデータより材料毎の臨界押込み深さを明らかにした。 次に微細加工による表面機能の創生を検討するために、微細押込み加工したガラス表面の化学的吸着特性を調べた。吸着物質としてDNA溶液とたんぱく質溶液を用いた。無加工(平坦な)ガラスおよび微細加工したガラスにDNA溶液とたんぱく質溶液をスポットし、水で洗浄した後、蛍光X線分析によりDNAおよびたんぱく質に含まれるP(リン)とC(炭素)原子の量を定量的に測定した。その結果微細加工した面にはより多くのDNAおよびたんぱく質が残留しており、ガラス表面の化学的吸着性が微細加工により向上することが確認された。 なおこの成果は高性能DNAマイクロアレイチップの開発に応用可能である。
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Research Products
(1 results)