2002 Fiscal Year Annual Research Report
ベニボタル科昆虫をモデル群とした種分化と擬態形成の分子進化的研究
Project/Area Number |
02F00203
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
八木 孝司 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LADISCAV BOCAK 大阪府立大学, 先端科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 甲虫目 / ベニボタル科 / ミトコンドリアDNA / 擬態 / 系統 / 種分化 |
Research Abstract |
東南アジア産ベニボタル科Cautires, Xylobanus, MetriorrhynchusおよびBulenides属を研究の対象とした。合計107種264サンプルよりDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAのND5遺伝子の塩基配列を決定した。これらにMetriorrhynchinae亜科の他属15種を外群として加えて、系統解析を行い、初期的な結果を得た。さらに現在、120サンプルのPCR増幅が終わり、第2年度における塩基配列決定の準備をしている。これ以外の20群80サンプルは、用いたプラーマーで増幅ができなかった。初期的な解析によって次のことがわかった。擬態グループ間の形態変化に要する時間は大変短く、典型的には1つの擬態グループには全属から数種が加わっていた。異なる地域での類似擬態パターンは独立の起源であることがわかった。色彩多型が東南アジアのMetriorrhynchus属で見られ、類似擬態パターンの多起源性は同一種内でも見られた。ミトコンドリアDNAによる系統解析は、擬態グルーブ間の形態変化がMetriorrhynchus属のオーストラリアからアジアへの分布拡散の過程で起ることを証明した。ND5遺伝子の塩基配列決定は第2年度に終了するであろう。その結果は擬態の解析のみならず、分類や生物地理研究にも用いられるであろう。他の遺伝子の塩基配列もいくつかの限られた分類群に用いて、系統樹の基幹部の分岐順序を確かにするつもりである。初期的な結果を2003年3月、基礎生物学研究所で開催された昆虫の分子系統学のシンポジウムで発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] BOCAK L.: "Revision and phylogenetic analysis of Metriorrhynchinae"EUROPEAN JOURNAL OF ENTOMOLOGY. 99. 315-351 (2002)
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[Publications] BOCAK L.: "Pendola, a new lycid genus (Coleoptera, Lycidae) from the Australian Region"BIOLOGIA. 57. 557-561 (2002)