2002 Fiscal Year Annual Research Report
グリシンベタイン処理が塩ストレス条件下のイネの収量と生理反応におよぼす効果
Project/Area Number |
02F00509
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 博 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN Md. Shahidur 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 塩ストレス / 活性酸素 / 共存イオン / グリシンベタイン / 光酸化 / 微細構造 / 葉緑体 |
Research Abstract |
(1)イネを人工気象室にてポット植えまたは水耕にて栽培し、塩ストレス障害に対するグリシンベタインの効果を調べた。種子または幼植物にグリシンベタインを吸収させ、塩ストレス条件下で生育させたところ、水耕では塩ストレス障害に対する軽減効果が認められ、根および地上部の生育抑制が軽減され、また地上部の可視障害も抑制された。また葉緑体を電子顕微鏡で調べたところ、葉緑体構造に対する障害も軽減された。しかし土耕を用いたポット栽培では、グリシンベタインによる軽減効果は顕著でなかった。 (2)そこで土壌中で共存すると考えられる各種イオンの共存効果を水耕にて調べた。その結果、NaClによるイネ幼植物の成長に対する影響は、Naによってもたらされ、Clは無関係であった。またMg単独では、Naよりも顕著な成長抑制作用を示した。ところが、NaにCaを単独またはMgとともに加えると、Naによる成長抑制が著しく軽減された。とくにCa+Mgの効果はグリシンベタインよりも大きく、またグリシンベタイン処理でみられた根の形態異常も認められず、新たな塩ストレス障害軽減対策の可能性が示唆された。 (3)イネの葉切片にNaClを処理し、クロロフィル分解および葉緑体構造に対する障害を調べたところ、障害発現は明条件下でのみ起こり、また活性酸素のスカベンジャーを処理することにより、障害は抑制された。しかし葉切片に対してはグリシンベタインは効果がなかった。したがって、葉緑体に対する障害には活性酸素による光酸化が関与しており、グリシンベタインは根を介して障害軽減作用を示すと推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Rahman, M.S., Miyake, H., Takeoka, Y.: "Effects of exogenous glycinebetaine on growth and ultrastructure of salt-stressed rice seedlings (Oryza sativa L.)"Plant Production Science. 5(1). 33-44 (2002)
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[Publications] Mitsuya, S., Yano, K., Kawasaki, M., Taniguchi, M., Miyake H.: "Relationship between the distribution of Na and the damages caused by salinity in the leaves of rice seedlings grown under a saline condition"Plant Production Science. 5(4). 269-274 (2002)
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[Publications] Yamane, K., Kawasaki, M., Taniguchi, M.Miyake, H.: "Differential effects of NaCl and polyethylene glycol on the ultrastructure of chloroplasts in rice seedlings"Journal of Plant Physiology. (印刷中). (2003)