2002 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴を用いた高温超伝導体の渦糸芯電子状態の研究
Project/Area Number |
02J00556
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角柳 孝輔 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 高温超伝導体 / 渦糸電子状態 |
Research Abstract |
高温超伝導は反強磁性を示すモット絶縁体にホールをドープすることで発現することから超伝導の発現に反強磁性相関か強くかかわっていると考えられている。高温超伝導体は磁場中で渦糸状態をとるが、この渦糸状態での渦糸コアが反強磁性になる可能性がSO(5)理論により指摘されており、高温超伝導の渦糸コアの状態が注目されている。 本研究で用いている空間分解NMRの手法ではバルクでの渦糸コアのT_1の測定が可能である。測定にはTl系高温超伝導体のTl_2Ba_2CuO_6の試料を用いた。この試料のTlサイトでは渦糸によるRedfield-patternが観測された。また、このTlは結晶内でCuO_2面のCuの直上に位置するのでCuモーメントの状態を反映する。そのため渦糸コアの磁気状態を調べるのに適している。 このTlサイトでの測定から低温で渦糸コア部分のスペクトラムの異常な広がりを見つけた。さらに、この渦糸部分でのT_1は渦糸の入っていない超伝導部分に比べてきわめて短いことが分かった。 これらの実験結果はTl_2Ba_2CuO_6の渦糸コアが反強磁性状態になっていることを示す実験的に得られた最初の証拠である。 現在はさらにこの試料の渦糸コア状態の磁場変化についての研究を続けている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 角柳 孝輔: "Antiferromagnetic vortex core of Tl_2Ba_2CuO_<6+δ> studied by ^<205>Tl-NMR"Physica C : Superconductivity and its applications. (掲載予定).
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[Publications] 角柳 孝輔: "NMR study on the electric structure of the vortex state in HTSC"Journal of Low Temperature Physics. (掲載予定).