2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J01331
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 生 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 銀河の特異速度 / 局所銀河群 |
Research Abstract |
局所銀河群の特異運動の起源を探る上で最も重要と考えられる、局所空洞周辺の銀河にっいて、フランスナンセイ天文台のP.シャマロ博士との共同研究として中性水素21cm輝線の観測を行った。合計40個あまりの銀河についての輝線幅の情報が取得されており、現在解析を進めている。一方、これまでに我々が観測してきた近赤外での撮像データの解析も進めた。21cm輝線の線幅と後退速度の情報、および近赤外での測光情報を組み合わせ、サンプル銀河の特異速度を求めている。これまでに解析の終了した約20個の銀河の特異速度の分布からは、局所空洞が拡大し、我々からみて局所空洞の対岸にあたる天域の銀河分布フィラメントが収縮する傾向の運助が見えてきており、今後サンプルを増やすとともに、統計的有意性を検討し公表する予定である。また、我々からみて局所空洞と反対側に位置するとも座天域の銀河サンプルについての近赤外撮像観測を平成15年3月から4月にかけて行う。これらについては既に中性水素21cm輝線の情報が公表されており、局所空洞方向の銀河の運動と合わせることで、局所銀河群の特異運動に対する周辺の物質分布の影響を明らかにし、宇宙の大規模構造の進化が現在も進んでいることを観測的に証明することができると考えている。 一方で、すばる望遠鏡を用いた高赤方偏移の銀河探査を進め、赤方偏移5付近の300個あまりの銀河候補の同定に成功した。これらは宇宙初期における星形成を探査する非常に貴重なサンプルであり、可視分光観測や近赤外域での観測をさらに進めてその性質を明らかにしていく。また、これらの高赤方偏移銀河の天球上の分布は明瞭な疎密構造を示している。これは現在の宇宙にみられる大規模構造の進化過程の初期段階を調べる格好の対象である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ikuru Iwata: "Lyman Break Galaxies at Z〜5:Luminosity Function"Publication of the Astronomical Society of Japan. 55巻2号. (2003)
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[Publications] Ikuru Iwata: "Lyman Break Galaxies at Z=5 around the Hubble Deep Field"Proceedings of the IAU 8th Asian-Pacific Regional Meeting. Vol.2. 259-260 (2002)