2002 Fiscal Year Annual Research Report
中期始新世から前期漸新世にかけての深層水循環変動の解明
Project/Area Number |
02J02852
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大串 健一 茨城大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 古海洋 / 有孔虫 |
Research Abstract |
近年の古海洋研究では、数十年〜数千年周期の短周期変動の研究が注目されている。しかし、北西太平洋外洋域においてそのような短周期変動のパターンと原因はまだ明らかになっていない。本研究では親潮域で採取された海底コアの解析を行うことにより北西太平洋における中深層水循環変動とそれに伴う、海洋表層変動や生物の応答について高時間解像度で解明することを予定している。このため、底生有孔虫化石群集、乾燥密度、含泥率、放射性炭素年代、酸素・炭素同位体比分析を実施している。分析試料は海洋科学技術センターの地球海洋調査船「みらい」のMR01-K03航海で採取されたコアPC-4(長さ13.4m)である。本試料は下北半島東方沖水深1363mから採取された均質なシルト質泥からなる。現在のところ試料採取および乾燥密度測定までが終了している。半割したコア試料から各分析用に約2cm間隔で連続的に試料を採取した。堆積年代決定のために有孔虫化右個体を抽出し、浮遊性有孔虫10層準、底生有孔虫9層準について放射性炭素年代分析を実施した。年代分析はウッズホール海洋研究所加速器施設に依頼した。分析や試料前処理は、海洋科学技術センター三島博士、内田博士の協力を得ている。その結果、本コアは約3万年間の環境変動を記録していることが明らかとなった。底生有孔虫分析は、筑波大学芝原学士の協力を得て実施中である。酸素・炭素同位体分析は、予察的に浮遊性・底生有孔虫について40層準実施した。分析は海洋科学技術センターむつ研究所阿波根博士、筑波大学干場学士の協力を得て実施した。底生有孔虫酸素同位体カーブは明瞭に氷期から間氷期へ至る環境変動を記録していた。また、炭素同位体比は、氷期から間氷期にかけて断続的に低い値をとる時期のあることが明らかとなった。今後はさらに分析間隔を詰めて短周期変動の特徴と原因について検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Ohkushi, Itaki, Memoto: "Last Glacial-Holocene change in intermediate-water ventilation in the Northwestern Pacific"Quaternavy Science Reviews. (2003)
-
[Publications] Chkushi, Suzuki, Kawahata, Gupta: "Glacial-interglacial deep water changes in the northwestern Pacific inferred from δ^<18>O and δ^<13>C"Marine Micropaleontology. (2003)