2002 Fiscal Year Annual Research Report
Rho-キナーゼとCRMP-2による神経回路網形成機構の解明
Project/Area Number |
02J03418
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 奈央 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | Rho-キナーゼ / CRMP-2 / migration / シグナル伝達 |
Research Abstract |
脳神経系は神経細胞の移動、成長円錐の運動と神経突起の伸展といった高次細胞現象の結果、極めて精緻で機能的な神経回路網を形成する。これらの高次細胞現象には、細胞骨格や細胞接着装置の時間的空間的な制御が必要であるが、細胞内における分子メカニズムは不明である。細胞の運動や形態形成にはアクトミオシン系の細胞骨格が関与していることが知られており、その制御には低分子量GTP結合蛋白質Rhoとその特異的なエフェクター蛋白質であるRho-キナーゼが重要な役割を果たしていると考えられている。本研究ではマウスをモデル動物として用いて、神経回路網形成におけるRho-キナーゼ及びその基質であるCRMP-2の生理機能とその作用メカニズムの解明を目的とする。本年度の研究業績は下記のとおりである。 1)Rho-kinaseの2つのisoformであるROCK1、およびROCK2のうちROCK2のノックアウトマウスを作製し、胎生致死であることを確認した。 2)ROCK2のノックアウトマウスが胎生13日で致死であることを確認した。 3)ROCK2のノックアウトマウスの胎児から初代培養繊維芽細胞を単離培養し、同腹の野生型胎児から単離した繊維芽細胞と比べてROCK1の発現量に変化がないこと、細胞の移動能が亢進することを確認した。 4)CRMP-2を過剰発現させるトランスジェニックマウスの作製を試みたが、発現量が低い個体しか得られなかった。 以上の結果から、ROCK2は細胞の移動の制御に特異的に関与している可能性が示唆された。ROCK2が神経細胞において細胞の移動などの高次機能を制御するかは、今後の研究で明らかにしていく予定である。 以上のことから平成14年度の研究計画はほぼ達成されたものと考える。
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