Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
低分子量GTP結合タンパク質Rhoとそのエフェクター分子であるRho-キナーゼは神経細胞の移動、成長円錐の運動及び神経突起の伸展といった高次細胞現象を制御することが知られている。また、Rho-キナーゼの基質の一つであるCRMP-2は神経細胞の極性形成に重要な役割を果たしていることが示されている。本研究においてはマウスをモデル動物として用いてRho/Rho-キナーゼ、及びCRMP-2の生理機能とその作用メカニズムの解明を目的としている。マウスにおいて、Rho-キナーゼのisoformはROCK1、ROCK2の2種類が報告されている。すでにROCK2のノックアウトマウス作製は修了しており、ROCK2ノックアウトマウスが胎生14日前後で胎生致死であることを見出している。この時点では神経系の構築はほとんど起こっておらず、神経系構築におけるRho-キナーゼの解析を行うためにドミナントネガティブ型Rho-キナーゼのを神経特異的に発現するトランスジェニックマウスの作製・解析を行っている。また、ROCK2ノックアウトマウスより初代培養細胞を単離し、細胞形態や細胞運動についての解析を行った。野生型より単離した初代繊維芽細胞とROCK2ノックアウトマウスより単離した細胞の形態を比較したところ、アクチン細胞骨格に大きな差異は認められなかった。一方で、boyden chamber法により細胞の運動能を比較したところ、細胞外基質、及びシグナル依存的に運動能に差が見られるという予備的な結果を得た。