2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J05342
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 泰弘 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | BmNPV / AcMNPV / Sf9細胞 / 宿主特異性決定機構 / 侵入 / 出芽ウイルス / 膜融合タンパク質GP64 |
Research Abstract |
本研究はカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)と昆虫培養細胞であるSf9細胞を用いてNPVの宿主特異性決定機構を明らかにすることを目的としている。今までの研究により、BmNPVのSf9細胞への感染はウイルス遺伝子発現以前に停止することがわかっている。そこで本年は、ウイルスゲノムDNAが核入輸送される機構に注目し、まず侵入停止投階の決定を試みた。ウイルスの膜融合タンパク質GP64に対する抗体を用いた細胞免疫染色を行った結果、エンドサイトーシスによるBmNPVのSf9細胞への取り込みは起こりうることが明らかとなった。しかし、Sf9細胞を宿主細胞とするAcMNPV接種ではウイルスの侵入に伴いGP64のシグナルの強度が変化したのに対し、BmNPV接種では同様の変化は認められなかった。GP64タンパク質はNPVの出芽ウイルスの侵入初期段階に必須なタンパク質である。そのため、このBmNPV接種とAcMNPV接種で認められたGP64のシグナル変化の相違が、BmNPVの侵入不全のどのような機構を反映した結果であるかを現在検討中である。 また、BmNPVの複製を可能にする遺伝子の探索を上記の研究と並行して行った。BmNPVとAcMNPVはゲノムの遺伝子構成などが非常によく似ている。この性質を利用し、AcMNPVより宿主特異性決定因子の単離を試みた。AcMNPVから作出したコスミドライブラリーを用い、BmNPVの複製を可能にする遺伝子の探索を試みた結果、単一のコスミドクローンの導入によりNPV感染の最終産物であるポリヘドリンタンパク質の蓄積が認められるようになった。現在はこのコスミドクローンより宿主特異性決定にかかわる遺伝子の探索を行っている。
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