2002 Fiscal Year Annual Research Report
イオン輸送体における機能部位の改変と耐塩性植物への応用
Project/Area Number |
02J05504
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 靖浩 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポーター / ナトリウムイオン / カリウムイオン / 植物 / 耐塩性 / 機能改変 / 構造 / 機能 |
Research Abstract |
イオン輸送体は、膜を介した情報伝達や物質の輸送など生命活動を維持していくうえで非常に重要な機能を担っている。本研究では、HKT1系タンパク質構造と機能の相関及び、植物のナトリウム、カリウム吸収機構について解明することで、耐塩性植物の知見を得ることを目的としている。申請者が決定したシロイヌナズナ由来の高親和性Na^+/K^+トランスポーター(AtHKT1)の膜貫通構造モデルから、イオンとの相互作用が関与すると思われる、膜貫通領域内に存在する電荷を持ったアミノ酸を部位特異的変異によって別のアミノ酸に置換し、イオン輸送活性に影響を及ぼすかを検証した。その結果、アフリカツメガエル卵母細胞を用いた電気生理学的手法による解析では、イオン輸送活性に影響を及ぼすアミノ酸を同定し、そのイオン取込み活性の影響を評価した。K^+輸送活性に影響を及ぼすこのアミノ酸は、膜貫通部位に存在するにも関わらず、電荷を持った性質のアミノ酸であり、この電荷が、イオン透過に影響を及ぼすことを示唆した。しかし、酵母のNa^+排出系欠損株、K^+取り込み系欠損株をそれぞれ用いた相補性テストからは、この電荷を持ったアミノ酸が、イオン選択性および取込み活性に影響をおよぼすような変化をもたらさなかった。このようなアミノ酸置換によるイオン取り込み能への影響、ならびに、植物におけるNa^+取り込み機構に関する知識は乏しい。今後は、イオン改変による耐塩性植物産出のための基礎データの収集を行い、植物体での影響を評価する。
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