2002 Fiscal Year Annual Research Report
PARPとp53を介したDNA損傷時の中心体機能制御機構の解明
Project/Area Number |
02J06278
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金居 正幸 筑波大学, 基礎医学系, DC1
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Keywords | 中心体 / 染色体安定性 / ポリADPリボース合成酵素 / ポリADPリボース代謝 / p53 |
Research Abstract |
ほとんどのがん細胞は染色体異常を有している。その一因として考えられる中心体機能異常は、数多くのがん細胞で見つかっている。中心体は細胞周期G1からS期にかけて複製し、細胞分裂期において染色体を正常に分配する機能を担っている。今回、私は、染色体安定性に関与すると考えられているポリADPリボース合成酵素(PARP)に着目している。PARPは、NADを基質として、目的たんぱく質にポリADPリボシル化反応を行うことで、そのたんぱく質機能をダイナミツクに変化させている。最近、私たちは、このPARPが染色体分配に必須である中心体に局在することを明らかにした(Kanai et al.BBRC,2000)。今年度、このPARPのノックアウトマウス細胞は、細胞周期G1-S期の中心体複製時期に異常を来し、中心体複製異常を引き起こすことで、染色体不安定を誘導していることを示唆した。さらに、このPARPによるポリADPリボシル化が正常な中心体機能に必須であることを明らかにした。また、中心体におけるPARPの目的タンパク質の一つとしてp53を同定した。p53は、がん抑制遺伝子産物であり、中心体機能に関与するとの報告がある。これらのことから、PARPは中心体において直接p53をポリADPリボシル化することにより、中心体におけるp53の役割に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された(Kanai et al.MCB,2003 in press)。現在、中心体におけるp53のポリADPリボシル化部位の同定、中心体におけるポリADPリボシル化目的タンパク質の同定、PARPによるポリADPリボシル化が細胞周期にどのような役割を担っているかを検証中である。
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Research Products
(1 results)