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2003 Fiscal Year Annual Research Report

英領南アフリカ連邦形成過程における帝国支配の重層構造と「ドミニオン的理念」

Research Project

Project/Area Number 02J06805
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

前川 一郎  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)

Keywordsイギリス / 南アフリカ / 帝国 / 帝国主義 / コロニアリズム / ドミニオン / 近代史 / 現代史
Research Abstract

1910年にイギリス帝国のドミニオン(自治領)として成立する南アフリカ連邦の形成過程においては、イギリス本国の政策担当者、植民地の主導権争いを展開したオランダ系白人アフリカーナーとイギリス系入植者、そしてこれら白人住民からさまざまなかたちで抑圧を受けたアフリカ人などの先住民らが、重層的な支配-被支配関係をとり結んでいった。そこでの社会的再編が現在の南アフリカ社会の基礎的構造をかたちづけたといってよいほど、20世紀初頭の連邦形成過程は、南アフリカの歴史においてきわめて大きな意味を持つものであった。その具体的な過程と帝国支配の重層構造を明らかにし、現在の南アフリカ共和国の原型といえる南アフリカ連邦形成の歴史的意義を考察することが、本研究の主たる目的である。
以上の研究目的にそって今年度に行なった研究から、論文のかたちで四つの成果が得られた。
1.「南アフリカ戦争の『原因をめぐる一世紀論争』」。本稿では、南アフリカ戦争の原因をめぐる有力な説として今日もなお大きな影響力を持っているJ・A・ホブスンの「陰謀説」を、新しい研究成果をふまえて批判的に再検討し、南アフリカ戦争の原因をめぐる現在の研究水準を明らかにした。南アフリカ戦争は南アフリカ連邦形成の直接の契機となった戦争であり、その歴史的経緯を理解することは、20世紀初頭の南アフリカ史の背景を把握することにつながる。
2.「書評 竹内幸雄『自由貿易主義と大英帝国』」。本稿では、書評というかたちをとって、「アフリカ分割」をめぐる現在の研究水準を整理し、「帝国主義の時代」(19世紀後半から20世紀初頭)のアフリカ史を扱う際の諸問題を指摘した。
3.「ポストコロニアル批評・帝国史・アフリカ史」。本稿では、イギリス帝国史・アフリカ史研究の立場から、昨今注目を集めているポストコロニアル批評という研究領域をとりあげ、歴史学のディスシプリンを欠いた「歴史(的)叙述」のあり方、その流行を批判した。
4.「南アフリカ連邦の形成」。本稿では、南アフリカ戦争以後連邦形成までの南アフリカ政治史を概説的にまとめた。白人間の民族的確執よりもはるかに複雑な関係を含んだ南アフリカ社会の再編が、イギリス帝国という場に規定されるとともに、逆に帝国の進路にも影響を及ぼしていったことを具体的に明らかにした。結果的に本研究の見取り図を示す論考となった。

  • Research Products

    (4 results)

All Other

All Publications (4 results)

  • [Publications] 前川一郎: "南アフリカ戦争の「原因をめぐる一世紀論争」"歴史学研究. 777. 34-42, 64 (2003)

  • [Publications] 前川一郎: "書評 竹内幸雄『自由貿易主義と大英帝国』"歴史学研究. 785. 55-58 (2004)

  • [Publications] 前川一郎: "ポストコロニアル批評・帝国史・アフリカ史"創価大学人文論集. (印刷中). (2004)

  • [Publications] 前川一郎: "南アフリカ連邦の形成"世紀転換期のイギリス帝国(『講座イギリス帝国と20世紀』第2巻)(木村和男編)(ミネルヴァ書房). (印刷中)(近刊)(所収). (2004)

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Published: 2005-04-18   Modified: 2016-04-21  

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