2002 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体とミトコンドリアの分裂装置による分裂・増殖機構の超分子細胞学的解析
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02J07498
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮城島 進也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 葉緑体 / ミトコンドリア / オルガネラ分裂 / FtsZ / ダイナミン / 色素体分裂リング / ミトコンドリア分裂リング / 細胞内共生 |
Research Abstract |
葉緑体とミトコンドリアは光合成と細胞内呼吸をはじめ生命維持にとって重要な機能を果たしている。葉緑体とミトコンドリアははそれぞれシアノバクテリアとアルファープロテオバクテリアの細胞内共生によって誕生したと考えられている。すべての植物細胞に両オルガネラが存在するのは,両オルガネラが分裂増殖してきた結果であるが,その詳しい機構はわかっていない。葉緑体の分裂に関わる構造として,電子顕微鏡により観察される色素体分裂(PD)リングと,祖先のバクテリア由来のFtsZリングが知られている.一方のミトコンドリアでは,下等な真核生物にはFtsZの存在が確認されているが,高等な真核生物にはこれらが存在しないことが明らかとなっている.また原始紅藻においてPDリングに類似の構造,ミトコンドリア分裂(MD)リングが観察されているが,その他の生物では報告がない.最近の研究によりミトコンドリアの分裂にはダイナミン様タンパク質からなるリングが関わることが明らかにされ,葉緑体はバクテリアと同じ方法で分裂し,ミトコンドリアにおいてはFtsZリングがダイナミンリングに置き換わったと考えられている.私は14年度の研究で,単細胞紅藻シアニディオシゾンの核ゲノムから,植物特異的なダイナミン様遺伝子を発見し,その産物が葉緑体分裂面にリングを作ることを明らかにし,葉緑体がFtsZ, PD,ダイナミンリングによって引き起こされることを示した.また当研究室により,シアニディオシゾンのミトコンドリアの分裂がFtsZ, MD,ダイナミンリングによって引き起こされることも明らかにされた.このことから、成立直後、'両オルガネラはほぼ同じ機構で分裂していたが、その後の進化の過程で、高等真核生物のミトコンドリアからFtsZ, MDリングが失われ,何らかの機構に置き換えられたと推測された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinya Miyagishima, et al.: "A plant-specific dynamin-related protein forms a ring at the chloroplast division site."Plant Cell. 15. 655-665 (2003)
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[Publications] 宮城島 進也: "色素体とミトコンドリアの分裂装置による分裂機構"Plant Morphology. 14(印刷中). (2003)