2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子ベクターへの展開を目指したブロック共重合体ミセルの構造設計と物性評価
Project/Area Number |
02J08125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 好嗣 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブロック共重合体 / 遺伝子治療 / ポリイオンコンプレックスミセル / 遺伝子ベクター |
Research Abstract |
ブロック共重合体ミセルの遺伝子ベクターとしての機能展開を中心に捉え立案した研究計画に従い、新たに合成された末端に官能基(acetal基)を有するポリエチレングリコール-ポリエチレンイミンブロック共重合体(acetal-PEG-PEI)とプラスミドDNAから形成されるPICミセル(acetal-PEG-PEI/DNA)の物性と培養細胞を用いた遺伝子導入を中心とした評価について検討した。その結果、acetal-PEG-PEI/DNAは、動的光散乱測定から粒径100nm以下の均一な粒子を形成していることが確認された。そして、acetal-PEG-PEI自体の細胞に対する毒性について、市販の遺伝子導入試薬(ExGen500)と比較することによってMTTアッセイから評価したところ、少なくとも5分の1以上の毒性の軽減が確認された。また、培養細胞(HepG2)を用いた遺伝子発現実験より一般的なポリカチオン型ベクターが高い発現効率を示すためにクロロキン等の助剤を必要とするのに対して、acetal-PEG-PEI/DNAはクロロキン非存在下においても明確な遺伝子発現を示す事が見いだされた。これより、本系はPEI鎖のバッファー効果に基づく細胞質へのスムースな移行が達成されたものと考察する。更に、血清(10%FBS)存在下においても、市販の遺伝子導入試薬と比べて同等かそれ以上の発現効率を示すことが明らかとなった。 今後、アガロースゲル電気泳動からDNA分解酵素に対しての安定性を確認した後、リガンドの存在による発現量の違いを評価すると同時に、細胞内動態を見積もるために蛍光標識させたミセルを同じく培養細胞に取り込ませて共焦点レーザー顕微鏡により解析する。
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