2002 Fiscal Year Annual Research Report
最先端ミュオンビームの開発とミュオン基礎物理の研究
Project/Area Number |
02J08522
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮寺 晴夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Dai Omega / パルスセパレーター / アバランシェフォトダイオード / マルチアノード光電子増倍管 / ミュオニウム励起 / ミュオニウムイオン化 |
Research Abstract |
高エネルギー加速器研究機構中間子科学研究施設に導入した大立体角軸収束超伝導表面ミュオンチャネル"Dai Omega"のビーム性能試験、粒子分離器の開発、検出器系の開発と評価を行った。Dai Omegaは炭素生成標的表面近傍に留まった正パパイオンが崩壊してできる4MeV表面ミュオンを収集・輸送するチャネルであり、4基の超伝導コイルで構成される。Dai Omegaのミュオン収集立体角は1sradを超えており、従来の四重極電磁石を用いたミュオンチャネルと比べてアクセプタンスを20倍向上させた。現在KEK-MSL(500MeV,5μA)でRAL(800MeV,200μA)に匹敵するミュオン強度(〜10^6μ+/s)が得られている。 Dai Omegaではミュオンと陽電子を軸対象なビーム輸送中に分離する必要があるが、そのための方法として従来用いられていた静電セパレーターに代わるパルスセパレーターを本研究で考案し、その評価実験を行った。パルスセパレーターでは、ミュオンビームと同期して100nsのタイミングで±60kVの電場を立ち上げ、ミュオンだけを取り出すことを可能にする分離器である。 またDai Omegaでは瞬時強度で世界最強のミュオンビームを実現しており、毎秒100万個のミュオンに対応できるμSR検出器の開発は、近い将来予定されているJ-PARCへの指標としても重要であった。本研究では、アバランシェフォトダイオード、マルチアノード光電子増倍管の評価を行った。特に本研究で開発を行ったアバランシェフォトダイオードを用いたμSR検出器は、1テスラ超の高磁場下でもほとんどゲインに変動がなく、現在の光電子増倍管を用いたμSR検出器を置き換える性能があった。 さらに、電子銃を用いたミュオニウム励起・イオン化実験のシミュレーションや各種計算を行い、実験で用いるチャンバーや電子銃の設計製作を行った。また、ミュオニウム励起・イオン化実験の準備実験としてDai Omegaのビームスタディを行い、バックグラウンド評価など熱ミュオニウム生成実験の準備を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Miyadera et al.: "Dai Omega, a large solid angle axial focusing superconducting surface muon channel"Physica B. 326. 265 (2003)
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[Publications] H.Miyadera et al.: "Beam test experiments at Dai Omega"KEK-MSL Report 2002. (in press). (2003)
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[Publications] H.Miyadera et al.: "Dai Omega, A Large Solid Angle Axial Focusing Superconducting Surface Muon Channel"KEK-Proceedings. 2. 58 (2002)