2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷川 千津 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | p53 / アポトーシス / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトの癌の約半数で変異の見られる癌抑制遺伝子p53は、転写因子として機能し、標的遺伝子の発現誘導を介し、細胞周期の停止、アポトーシスの誘導、DNA修復といった様々な機能を発揮することが知られている。従って、p53の全貌解明には個々の標的遺伝子の機能解析が必須である。これら解析が、発癌機構の解明のみならず、癌の診断や治療へ発展することを最終的な目標とする。 cDNAマイクロアレー法を用い単離した新規p53標的遺伝子p53RDL1(p53-regulated receptor for death and life)は、C末側にdeathドメインを有する1回膜貫通型蛋白をコードし、軸索誘導に重要な働きを持つラットのUnc5H2と高い相同性を有している。 アンチセンスオリゴによりp53RDL1の発現を抑制すると、p53導入によるアポトーシスを抑制し、また、アデノウイルスを用いたp53RDL1遺伝子導入は、Glioblastoma細胞株に対して顕著にアポトーシスを誘導した。このことから、p53RDL1はp53依存性のアポトーシス誘導に関与する新しい因子であることが推測された。 また、リガンドであるNetrin-1のリコンビナント蛋白質を作製したところ、p53RDL1とNetrin-1は確かに結合し、その結合はp53依存性アポトーシスを顕著に抑制した。このことは、ラットのUnc5H2がDependence receptorとして機能することと矛盾しないだけでなく、p53が、p53RDL1の発現誘導を介して、細胞の生死のバランスを決定している可能性を示唆するものである。 この生死の決定機構を解明するため、リガンドであるNetrin-1の制御機構に関して解析を進めた。 さらに新規のp53標的遺伝子を単離するため、cDNAマイクロアレイ法を用いて、p53により発現誘導を受ける遺伝子群を探索中である。
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Research Products
(1 results)