2002 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ群集の白化後の回復動態:リージョナルスケールでの多種共存機構の解明
Project/Area Number |
02J08890
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹垣 草世香 (向 草世香) 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造礁サンゴ / 多種共存 / メタポピュレーション |
Research Abstract |
サンゴ群集の生息場所は、波あたりの弱いリーフ内、強いリーフ外、など空間変異が著しい。それに加えて、台風など季節的な環境変動の影響も受ける。本研究ではメタポピュレーションモデルを用いて、環境変動をもたらす空間と時間という2つの要因の多種共存機構における相対的重要性を調べた。 環境が異なる2つの生息地があり、またその環境が2年周期で変動すると仮定する。各生息地、各周期での繁殖率、死亡率を、それぞれ正規分布に基づいてランダムに決定し、2種を生成する。この2種が解析的に求めた共存条件を満たすかどうかを計算した。同様の試行を複数回繰り返した後、共存が実現したペアの頻度を求めた。 各生息地でつくられた子供は完全に交ざるとすると、空間変異が周期変動に比べて相対的に大きい場合には、死亡率の分布の分散が大きいほど共存確率が大きくなった。一方、周期変動が相対的に大きい場合は、繁殖率の分布の分散が大きいほど共存確率は大きくなった。しかし平均死亡率が大きくなるにつれ、共存確率は低くなることが分かった。また、生息地間の交流率を低くすると、空間変異が相対的に大きい場合のみ共存確率が増大した。 以上の結果から、死亡率が大きい場合や生息地間の交流率が低い場合には、空間変異がもたらす共存メカニズムが時間変動よりも重要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)