2002 Fiscal Year Annual Research Report
北アイルランドのユニオニズムにおけるナショナル・アイデンティティ
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02J11139
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
尹 慧瑛 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 北アイルランド / ユニオニズム / ナショナル・アイデンティティ / グローバリゼーション / 多文化主義 / レイシズム |
Research Abstract |
平成14年度の研究実績としてまず挙げられるのは、一橋大学大学院社会学研究科への研究論文『北アイルランドのユニオニズムにおける自己表象』の提出である。これにより、平成14年7月に博士(社会学)の学位取得をした。この研究成果の一部は、平成14年12月に大阪経済大学で行われた2002年度アイルランド研究年次大会において「ユニオニズムの自己表象-アルスター協会の活動と出版物を通して」という標題の下、研究報告として発表を行った。 また、研究論文でまとめあげたテーマから派生する諸課題について論稿を発表する機会を得ることができた。「都市 新世紀の風景」と題する特集の下に企画された『神奈川大学評論』第44号では、グローバリゼーション状況において、固有の歴史や文化の時間軸を持ちつつもさまざまな矛盾が同時にあらわれる「世界都市」のひとつとしてベルファストをとりあげ、紛争・「停戦」を経た現在の北アイルランドが抱えるコミュニティ間の距離という問題と、あらたに「発見」されたレイシズムの問題を論じた。伊豫谷登士翁編の『グローバリゼーション』では、グローバリゼーションに対する反発現象として立ち現れる「ホワイトネス(白人であるということ)」の主張を、北アイルランドのユニオニズムの主張にみられる恐怖・不安の問題と結びつけながら、目に見える/目に見えないレイシズムの構造の結節点に位置する存在としてのアイリッシュネスについて指摘した。また、『世界歴史大系 アイルランド史』では、ユニオニストの「包囲の心理」が北アイルランド史において持つ意味を論じた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 尹 慧瑛: "ベルファスト"神奈川大学評論. 第44号(未定). (2003)
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[Publications] 伊豫谷登士翁編(共著): "グローバリゼーション"作品社. 190 (2002)
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[Publications] 上野格, 盛節子編(共著): "世界歴史大系 アイルランド史"山川出版社(近刊). 500