2003 Fiscal Year Annual Research Report
GC/ICP-MSとXAFSによる化学形態情報を基にした土壌汚染のリスク評価
Project/Area Number |
02J20107
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
津野 宏 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門・計測技術研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線吸収微細構造 / XANES / EXAFS / 局所構造 / 希土類元素 / クロム / 価数 / 土壌 |
Research Abstract |
今期は土壌中に存在する重金属の存在状態について、放射光を光源としたX線吸収微細構造を用いた解析法の確立を重点的に行なった。まず、土壌、地下水帯水層によく見られるカルサイト中に取り込まれた、希土類元素の存在状態を解析した。また、地質調査所発行の土壌標準試料に添加された6価クロムについて、試料中のクロムの価数を直接測定した。 1.カルサイト中のイッテルビウム X線吸収端微細構造(XANES)によるスペシエーションの結果、Yb^<3+>を添加した過飽和溶液からカルサイトを生成させたにも関らず、カルサイトに取り込まれたYb^<3+>の一部が2価に還元されていることが示された。結晶構造を考えるとCa^<2+>座における安定性はそのイオン半径の類似性と等しい電荷からYb^<2+>が有利であり、この結晶中での還元反応は結晶構造に支配されたメカニズムの存在が示唆される。さらに、広域X線吸収微細構造(EXAFS)から、Yb^<3+>の周辺は全体としては、Ca^<2+>と同じ6配位となるが、最近接で密接している4個の酸素と離れた場所に位置する2配位とに分離していることが示された。Yb^<3+>がCa^<2+>座に置換してはいるが、Yb^<3+>のイオン半径がCa^<2+>に比べて小さいために、6個の酸素が等距離に存在することができずに、2つのシェルに分離したと考えられる。 2.土壌中のクロム 汚染土壌中の重金属の化学形態を解析する為の予備実験として、地質標準試料(土壌)中に添加された汚染重金属の中からCrを選びXANESにより価数を測定したところ、標準試料の発行元で6価で添加したはずのCrが3価としてのみ検出された。これは作成・保存中に還元されたものと考えられるが、今後、スペシエーションのための標準試料の調整には、価数情報の保証も不可欠となるため、そのためにも必要な情報を提供できることから、現在、論文投稿の準備をしている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsuno, Hiroshi, et al.: "Spontaneously induced reduction of trivalent ytterbium in synthesized crystal of calcite."Chemistry Letters. 32・6. 500-501 (2003)
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[Publications] Tsuno, Hiroshi, et al.: "XAFS study on the trace amounts of ytterbium ions incorporated in calcium carbonate crystal."Physica Scripta. (印刷中).