2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J20119
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
奥 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 珪藻 / 休眠胞子 / 発芽 / 光強度 |
Research Abstract |
本年度の主要目的は,まず珪藻のクローン培養を確立して検鏡関連の十分な整備を行うことにより実験系を確立し,次に種々の光強度や波長における休眠胞子の発芽特性を明らかにすることであった。本年度は相模湾における珪藻群集に異常がみられ,目的とするChaetoceros種の出現が極めて少なく年度前半の単離株の作成は困難であった。このためまず観察システムの構築と最適化に重点を置いたが,その過程で休眠胞子などの珪藻殻を世界最高の分解能で観察する顕微鏡照明法を見いだした。これは珪藻殻の特定構造から発する偏光を利用し,瞳変形技術と組み合わせたものである。これを学会で発表し,また専門誌に掲載した。年度半ばにはChaetoceros curvisetusクローン株の作成に成功したので,予め制作した光照射装置(安定化電源・発光素子・光学フィルタ類を組み込んだ光強度と波長を変えられる培養用光照射装置)を用いて休眠胞子の発芽実験を試みたところ,休眠胞子の発芽には波長依存性があり,青色光は黄色光と比較して少なくとも3倍以上の発芽促進効果があるというデータが得られた。この青色光をを用いるとこれまで信じられていた光強度の1/100で発芽が起こることも明らかにした。さらに,増殖に必要な光強度と休眠胞子の発芽に必要な光強度には差があることも判明した。これらの結果より,休眠胞子の発芽と増殖の機構の違いを明確にした。これらの内容の一部は水産総合研究センターで開かれた専門家のための勉強会において発表した。
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Research Products
(2 results)