2002 Fiscal Year Annual Research Report
生存シグナル伝達分子Akt並びにPDK1の活性制御機構の解析と治療への応用
Project/Area Number |
02J61413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 沙織 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キナーゼ / 活性制御機構 / Akt / PDK1 / UCN-01 / 抗癌剤 / アポトーシス |
Research Abstract |
Aktは細胞の生存に重要な役割を果たすセリン・スレオニンキナーゼである。最近、Aktの活性化を抑制するPTENの欠失や変異、Aktの遺伝子増幅が多くの癌で見い出され、Aktは細胞の癌化に関わる分子としても注目を集めている。また正常細胞ではあまり活性化していないことから、Aktは抗癌剤の標的として適している。しかし、Aktを標的とした抗癌剤は未だない。そこで本研究ではAktを標的にした癌治療法の開発を目的とし、まずAktの活性を抑制する薬剤の探索を行なった。その結果スタウロスポリンや、その誘導体で現在抗癌剤としての開発が進められているUCN-01がAktの活性を抑制することを見出した。Aktの活性に対する抑制効果はスタウロスポリンよりもUCN-01で強く認められた。Aktのシグナル伝達路におけるUCN-01の標的分子を探索した結果、Aktの上流のキナーゼであるPDK1キナーゼがその標的であることが明らかとなった。UCN-01は細胞内、in vitro、さらにマウスに腫瘍を植え付けたtumor xenograft modelにおいても特異的なPDK1抑制効果を示した。そこでUCN-01によるPDK1抑制効果がUCN-01の抗腫瘍効果に寄与しているかを検討した。細胞にUCN-01を処理した後、アポトーシスのマーカーであるCaspase-3の活性化を検討したところ、活性化型Aktを発現させた細胞ではコントロール細胞に比べてCaspase-3の活性化が抑制され、アポトーシスが抑制されていた。このことからUCN-01によるPDK1-Akt経路の抑制は、UCN-01による抗癌活性の発揮に重要であることが明らかとなった。(714字)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐藤 沙織: "Interference with PDK1-Akt survival signaling pathway by UCN-01(7-hydoxystaurosporine)"Oncogene. 21巻・11号. 1727-1738 (2002)
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[Publications] 藤田 直也: "Involvement of Hsp90 in signaling and stability of 3-phosphoinositide-dependent kinase-1"The Journal of Biological Chemistry. 277巻・12号. 10346-10353 (2002)
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[Publications] 藤田 直也: "Akt-dependent phosphorylation of p27Kip1 promotes binding to 14-3-3 and cytoplasmic localization"The Journal of Biological Chemistry. 277巻・32号. 28706-28713 (2002)