2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J61427
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三浦 史仁 金沢大学, がん研究所, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 一般化アダプター付加競合PCR / GATC-PCR / 絶対定量 / トランスクリプトーム / ポリソーム / RPL25 |
Research Abstract |
1.ゲノムワイドなGATC-PCRによる絶対定量法の確立 一般化アダプター付加競合PCR法では、ゲノムDNAとcDNAのような異種核酸同士の競合増幅が可能である。つまり、全ての遺伝子を等コピー含むゲノムDNAを標準に、cDNA中に含まれるそれぞれの遺伝子の絶対定量を行うことが可能である。そこで、出芽酵母ゲノムの9割に相当する遺伝子に対してデザインされた遺伝子特異的プライマーを用い、出芽酵母トランスクリプトームの絶対定量を行った。この結果、(1)栄養豊富な培地中で対数増殖期における出芽酵母単位細胞当たりの総mRNA数は約10000であること。(2)その発現のオーダーは細胞当たり0.01コピーから1000コピーまで、およそ6桁にも及ぶこと。(3)その発現様式は、Power Lawに従うことなどが判ってきた。このようなゲノムワイドな絶対定量プロファイルを既に20セット収集し終えており、システムの基盤が整ったことが確認できた。 2、ポリソームのアフィニティ精製 2002年秋にInada等によって、ポリソームのアフィニティ精製法が発表された。リボソーム構成因子のRpl25pのC末端にFlagタグを付加し、アフィニティ精製を行うことで容易にポリソームを精製することが可能であるという。しかし、原法は融合Rpl25pをプラスミド上から発現させているため、例えば栄養飢餓、栄養過剰等の様々な培養条件下で常に融合タンパクの発現を維持することはプラスミド維持の観点から困難だと予測された。そこで、ゲノム上のRPL25遣伝子3'末端に直接Flagタグを導入し、培養条件の影響を受けずに済む系でのポリソーム精製を試みた。この結果、ポリソームを容易に精製することができた。このことから翻訳中の転写物と全転写物の量的関係、換言すればmRNAとリポソーム間の相互作用情報を様々な条件下でプロファイルする基盤が整った。
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