2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着機構Nectin-Afadin系による細胞運動の制御機構
Project/Area Number |
02J61439
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲垣 舞子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞運動 / 細胞接着 / Nectin-Afadin系 / Nectin / Afadin / アクチン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞は運動する際、その先導端でアクチン細胞骨格の再編成によりフィロポディアやラメリポディアを形成しながら運動し、細胞と細胞の先導端が相互に接触して細胞間結合が形成されると細胞運動が止まる。このように、細胞の運動と密着のそれぞれのシグナル伝達系には密接なクロストークが存在し、細胞間接着からのシグナルが細胞運動を制御すると考えられている。また、この制御機構の破綻が、がん細胞の浸潤や転移を引き起こすと考えられている。私の所属する研究室では、新しい細胞間接着系Nectin-Afadin系と低分子量Gタンパク質Cdc42活性化因子Frabinを見出し、これらがそれぞれ細胞の接着と運動のシグナル伝達系に関与することを明らかにしている。 本年度の研究では、細胞の接着と運動のシグナル伝達系におけるNectin-Afadin系の機能を解析し、以下の成果を得た。(1)Nectinが、神経細胞においてアクチン結合タンパク質ZO-1の局在に関与することを明らかにした。(2)Nectin-1およびNectin-3のノックアウトマウスを作成した。これらのマウスはどちらも生存可能であったが、眼球が小さいという表現型を示した。野生型マウスにおいて、Nectin-1およびNectin-3は毛様体の色素上皮と無色素上皮の間の接着部位に局在しており、Nectin-1およびNectin-3のノックアウトマウスでは二層の上皮が分離していた。以上の結果から、Nectin-1とNectin-3は毛様体の色素上皮と無色素上皮を接着することにより、毛様体の形成に必須の役割を果たしていることが明らかとなった。 Nectinのトランス結合は、Cdc42,Racなどの低分子量Gタンパク質を活性化することが報告されている。今後は、Nectin-1およびNectin-3のノックアウトマウスを用いて、Nectinによる低分子量Gタンパク質活性化の分子機構、およびこの活性化と毛様体形成を含めたNectinの生理的機能との関連を明らかにする予定である。これにより、細胞の接着と運動のシグナル伝達系のクロストークの分子機構およびその生理的機能が明らかになると考えられる。
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Research Products
(1 results)