2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞のFasシグナリング耐性を克服する物質の探索
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02J61465
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
吉本 由哉 財団法人微生物化学研究会, 化学療法研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Fas / FasL / アドリアマイシン / gld / スクリーニング |
Research Abstract |
癌細胞におけるFas耐性機構を阻害する薬剤は、免疫細胞への感受性を回復させることにより抗腫瘍効果を発揮する可能性がある。そこで癌細胞のFas感受性を回復させる物質を天然物より探索する系を構築し、活性物質の探索を行った。Fas感受性の回復は、ヒト肺腺癌A549細胞を細胞障害性抗Fas抗体CH-11で刺激した際の細胞死を指標として評価した。 1.天然物よりのスクリーニング 放線菌、及びカビの培養液よりスクリーニングを行い、A549細胞のFas刺激感受性を回復させる新規物質、f13102-Aを単離した。本物質の構造はマススペクトロメトリー法、NMR法により決定した。生理活性の詳細については現在検討中である。 2.アドリアマイシンの治療効果へのFasの関与 開発したスクリーニング系を用いて既存の抗癌剤がFas感受性に与える影響を検討したところ、アドリアマイシン(ADM)はA549細胞の細胞表面Fas発現量を増加させること、Fas刺激に対する感受性を回復させることを見出した。このことは、ADMの抗腫瘍効果に癌細胞の免疫感受性回復(Fas感受性回復)が関与している可能性を示唆する。そこで、A549細胞と同様にADMによるFas感受性回復が認められたマウス肺癌3LL細胞を同系マウスに移植して治療効果を検討した。3LL腫瘍のin vivo増殖はADM治療により有意に抑制されたが、Fasを介した細胞死が起こらないFasL変異マウス、C57BL/6-gldではADMの治療効果は認められなかった。これらのことから3LL細胞のin vivo腫瘍に対するADMの治療効果には、癌細胞のFas発現を介した宿主の免疫反応が寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuya Yoshimoto, Masaya Imoto: "Induction of EGF-dependent Apoptosis by Vacuolar-Type H^+-ATPase Inhibitors in A431 Cells Overexpressing the EGF Receptor"Experimental Cell Research. 279. 118-127 (2002)
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[Publications] Yuya Yoahimoto, Takaaki Jojima, Tsuyoshi Arita, Minoru Ueda, Masaya Imoto, Shuichi Matsumura, Kazunobu Toshima: "Vacuolat-type H^+-ATPase Inhibitory Activity of Synthetic Analogues of the Concanamycins : Is the Hydrogen Bond Network Involving the Lactone Carbonyl, the Hemiacetal Hydroxy Group, and the C-19 Hydroxy Group Essential for the Biological Activity of the Concanamycins?"Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 12. 3525-3528 (2002)