2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖関連新規プローブの開発による生体機能の解明と制御
Project/Area Number |
02J73002
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
若尾 雅広 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | プロスタサイクリン / IP_2受容体 / 15R-TIC / PET / IP_1受容体 / イロプロスト / クロスカップリング |
Research Abstract |
本研究指導者である鈴木らのグループによりこれまでに、脳実質内に新たな中枢型プロスタサイクリン(PGI_2)受容体(IP_2)が発見されるとともに、IP_2に強くかつ特異的に結合する15R-TICが創製されている。また、陽電子断層画像撮影法(PET法)による脳内のIP_2の画像化を目指して、sp^2/sp^3炭素間のStille型高速クロスカップリング反応が新たに開発され、その応用により15R-TICのトリル基部分に短寿命ポジトロン放射核^<11>Cを導入した15R-[^<11>C]TICメチルエステルの短時間合成が達成された。実際に本PETトレーサーを用いて、サル、さらにはヒト脳内のIP_2分布の画像化に成功している。本研究では、中枢型受容体(IP_2)のPET画像化の成功を受けて、その対照受容体であり、従来からよく知られている末梢組織に発現するPGI_2受容体(IP_1)のPET画像化を目指した。今回、脳内および末梢組織でのIP_1の分子イメージングを達成するためにIP_1特異的PGI_2人工類縁体であるイロプロストの^<11>C標識体の合成を目指した。その合成には、アセチレン末端への^<11>CH_3基の効率的な導入法が必要であるが、これまではそのような、sp/sp^3炭素間のクロスカップリング反応は困難であるとされていた。そこでまず、ヨウ化メチルと1-ヘキシニルスズ化合物とのモデル反応において条件検討を行った結果、適切なパラジウム触媒を使用することで目的とするメチル化体が収率良く得られることが分かった。また、PETトレーサー前駆体となるアルキニルスズ化合物に対して、非放射条件下、上記反応条件の適用を試みた結果、目的とするイロプロストメチルエステルを収率良く合成することに成功した。今後、実際のPETトレーサー合成およびそれを活用したサル、さらにはヒトIP_1の分子イメージングが行われる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Wakao: "Chemical synthesis of cyclodextrins by using intramolecular glycosylation"J.Org.Chem.. 67・23. 8182-8190 (2002)
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[Publications] M.Chino: "Efficient method to prepare hydroxyethylamine-based aspartyl protease inhibitors with diverse P_1 side chains"Tetrahedron. 58・32. 6305-6310 (2002)