2003 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア遺伝子疾患モデルマウスを用いた病態発現機構の解明
Project/Area Number |
03J00342
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 晃嗣 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子細胞遺伝学 / ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA(mtDNA) / ミトコンドリア病 / 病態モデルマウス |
Research Abstract |
近年、ミトコンドリアDNA(mtDNA)突然変異がミトコンドリア病と総称される疾患の原因となっているだけでなく、糖尿病やパーキンソン病、老化といった疾患や現象にも関与しているという報告がなされている。しかしmtDNA突然変異と疾患との直接の因果関係については不明瞭な点が多く、その理解のためにはモデル動物を使用した個体レベルでの観察が必要である。本年度の研究では主に突然変異型mtDNAによる個体,レベルの病態発症を抑制していると考えられるミトコンドリナ間相互作用の検証を行った。 マウス培養細胞由来の大規模欠失型mtDNAを、異なる系統マウス由来のmtDNAを持つマウス受精卵に導入したマウスの作製を行い、電子顕微鏡を用いて単一細胞内の個々のミトコンドリア呼吸活性をチトクロムcオキシダーゼ(COX)活性を指標として観察した。その結果、一定以上大規模欠失型mtDNAが蓄積してはじめて細胞のCOX活性は低下し、なおかつCOX陽性のミトコンドリアとCOX陰性のミトコンドリアが単一細胞内に混在することはないという結果が得られた。この結果は、マウス作製時に外部から導入した大規模欠失型mtDNAを有するミトコンドリアと、受精卵由来のミトコンドリア間で、大規模欠失型mtDNAにおいて失われている遺伝子産物が頻繁に供与されたことを示している。以上の結果から、細胞内においてミトコンドリアは活発に相互作用し物質を交換することで突然変異型mtDNAによる病態発症うぃ抑制していると考えられる。 また、既に作製されているミトコンドリア病モデルマウスあるMito-Miceにおける病理解析、及び大規模欠失型mtDNAの次世代遺伝様式の解明については、本年度は十分な数の試料が得られなかったため、来年度も継続して解析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)