2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質機能調節の分子機構の理論研究:構造のやわらかさとアロステリック効果
Project/Area Number |
03J03132
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古賀 信康 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アロステリック効果 / F1-ATPase / 分子動力学シミュレーション / 折れたたみモデル |
Research Abstract |
タンパク質の機能調節に最も重要な機構のひとつである「アロステリック効果」の研究を行った。モデルタンパク質として、モータータンパク質であるF1-ATPaseを用いた。このタンパク質は、マルチサブユニットからなり、あるサブユニットのATP加水分解によって誘起される構造変化が、そのサブユニットに隣接するサブユニットに影響を与えることよって、1、隣接するサブユニットのATP加水分解能を協同的に変化させ、2、中心のサブユニットを回転させている。1、2にみられるアロステリック効果を、折れたたみモデルに基づいた粗視化モデルを構築しシミュレーションを行うことで、明らかにしようと試みた。2、に関しては、ATP加水分解に伴うサブユニットの構造変化:開閉運動が、特定のパターンのときのみ中心のサブユニットの回転運動を生み出していることを明らかにした。さらに、回転運動を直接生み出している部位を特定した。しかしながら、1、に関しては、いまだ多くの部分が不明である。そのため、タンパク質の形の変化をより詳細に側鎖単位で記述することが必要であると考えた。これまで構築してきたモデルはアミノ酸をCα原子のみで表現していたが、このモデルの拡張:タンパク質の表面にあるアミノ酸のみに側鎖原子の構築を試みた。また、モデル拡張に伴う原子数の増大によって、計算時間が大幅に長くなると予想されたため、モデルの拡張と同時に並列計算を行うためのシステムを構築し、それらを扱う技術を身に付けた。モデルの拡張に関しては、パラメターの決定に時間がかかっており、いまだ開発段階である。並列計算のシステム構築に関しては順調にすすんでおり、すぐにでも実用できる段階に達した。
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