2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04568
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉置 孝至 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ボルンインフェルト作用 / ループ量子重力理論 / 面積量子化 / ブラックホール準固有振動 / 状態数 |
Research Abstract |
ブラックホールの性質は、高エネルギー領域ではストリング理論等から考えられる補正を受けて変化するものと予想される。このような立場から、電磁場に対して補正を考えたボルンインフェルト作用と重力の系でのブラックホールが調べられてきた。しかし、この作用は電磁場が一定でなければ補正項が付き、ブラックホールではこの条件が大きく破れているため、この効果を調べる事は重要である。我々はこの効果まで含めてブラックホール解を求め、解析した結果、ホーキング温度、質量共に単なるボルンインフェルト作用の補正とは逆の方向に変化する事がわかった。また、時空構造についても、極めて極限ブラックホールに近い解を除いては内部ホライズンを持たなくなり、単なる電磁場入りのブラックホールであるライシュナー解とは対照的である。それゆえに今回のような補正を考える事は定性的なブラックホールの性質の理解の上で不可欠である事がわかった。 ループ量子重力理論は量子重力理論の候補として期待されているが、その成果として面積や体積が自然に量子化される枠組みを提供している事、ブラックホールの状態数が考えられている事が挙げられる。近年の話題として、この理論での面積量子化と、ブラックホール準固有振動から考察される面積量子化の結果の類似がある。しかし、この結果の類似は、電磁場入りのライシュナー解では成り立たない事から、シュワルツシルトブラックホールでのみ成り立つ偶然だと思われる傾向にあった。我々は内部ホライズンを持たない他のブラックホール、例えば電磁場とディラトン場が結合した系で考えられるブラックホールでもこの性質は一般的に成り立ち、単なる偶然以上のものを示唆する結果を得た。この結果や後続研究の結果を受けてループ量子重力理論での理論的考察の見直しを図る動きも見られており、その潜在的重要性は高い。
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Research Products
(3 results)