2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04655
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 和俊 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 複素力学系 / 双曲力学系 / Stein多様体 / 有理写像 |
Research Abstract |
高次元複素多様体の有利型写像の力学系を研究する上で、複素射影平面P^2上の正則写像の場合の研究が深まることは、非常に重要であり、分野全体の発展に大きな影響があります。今年度の研究では、P^2上の次数2以上の正則写像について、多くの場合満たされるであろうと思われるcritically hyperbolicという、critical orbitに関する条件を創出しました。この条件を考える目的は、どのような力学系が典型的か、あるいは、どのような力学系が理想的であるかを探ることにあります。研究の結果、この条件をみたす写像の場合、Fatou集合が、有限個の吸引周期点の吸引域からなることが証明され、また、critical limit setが、すべての吸引周期点と、この研究で導入したサドル集合の不安定多様体の和であることも証明されました。これは、少なくとも、Fatou集合及びcritical limit setについては理想的な状態が実現されていることを意味します。今後、Julia集合についても理想的状態であることを証明できれば、critically hyperbolicという条件が当該の目的をかなり満足するものであると認めることができます。今年度行ったもう1つの研究は、P^2の代数的安定な有理写像に対する一般的考察です。Fatou成分がSteinであるか、という問題を肯定的に、完全に、解決しました。Fatou成分がSteinであるという事実は、複素幾何的な研究に役立ち、種々の応用が考えられます。特に、Julia集合が連結であることが出てきます。
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Research Products
(1 results)