2003 Fiscal Year Annual Research Report
多層量子ホール系における位相的ソリトンと群論的手法を用いた量子コヒーレンスの解析
Project/Area Number |
03J04685
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷部 一気 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 二層量子ホール系 / カンテッド相 / 非可換球 / 分数統計 / 行列模型 / グラスマンソリトン / チャーンサイモン / 非可換幾何 |
Research Abstract |
本年度、私が研究を行った量子ホール系の研究は主に次の三つである。 一つは、SU(4)群に基づく占有率2の二層量子ホール系におけるカンテッド相についての解析である。この相における秩序変数と二層間の距離に対するカンテッド相の安定性を議論した。そこで、SU(4)群に特徴的な生成子が本質的に重要な役割を果たすことを示した。この結果は論文にされ、本年度、Physics letter Aに掲載された。 2つ目は、高次元の量子ホール効果への拡張である。これまで、二次元でしか量子ホール系は実現されていないと考えられていたが、私は非可換球をもとにして、それが高次元に拡張可能であることを示し、そこでの基底状態、励起状態について解析した。その結果、二次元での性質は高次元にも自然に拡張可能であり、励起状態も分数統計に従う広がった膜状の物体であるが示された。また、その解析から低い次元の量子ホール系が凝縮して、更に高い次元の量子ホール系を構成するという次元的階層性の存在を始めて示した。これは、現在、素粒子物理で注目を浴びている行列模型の考えと非常に似ているものであり、行列模型と量子ホール系の新たな関係性を示すものとなっている。この結果は論文としてまとめ、現在、雑誌で査読中である。 3つ目は、現在進行中の研究であり、分数占有率の多層量子ホール系における位相的励起の研究である。これまでの研究で、その位相的励起は、グラスマンソリトンであり、その電荷は占有率に対応した分数電荷になっていることが、微視的な非可換幾何の立場から示された。またチャーンサイモンの有効理論の立場からも、同様の結論が得られることが分かった。この結果は、現在論文にまとめつつある所である。
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Research Products
(1 results)