2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05003
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新山 雅之 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ハイペロン |
Research Abstract |
SPring-8逆コンプトンγ線ビームラインにおけるハイペロン共鳴生成実験においてはタイムプロジェクションチェンバーと呼ばれる3次元粒子飛跡検出器が中心的な役割を果たす。今年度はタイムプロジェクションチェンバーの読み出し回路の1000チャンネル分の大量生産、及び性能評価、宇宙線によるタイムプロジェクションチェンバー自身の性能評価、ドリフト速度の較正を行い、逆コンプトンγ線ビームラインにおけるハイペロン共鳴生成実験の立ち上げを行った。 タイムプロジェクションチェンバーの読み出し回路は、プリアンプ、シェイプアンプ、フラッシュADCの三つから成り、読み出し回路全体でのノイズレベルと入出力の線形性が重要である。試験により、全読み出し回路のノイズレベルは、0.6%、線形性は0.4%と十分な性能が得られた。タイムプロジェクションチェンバー中の電子のドリフト速度は粒子の運動量測定に非常に重要なパラメータである。申請者はSPring-8の8GeVの電子ビームからの制動放射による高エネルギーγ線を用いて、ドリフト速度の測定を行い、5cm/マイクロ秒というドリフト速度を得た。これは今後重要なパラメータとなるものである。 2004年1月より、タイムプロジェクションチェンバーをSPring-8逆コンプトンγ線ビームラインに設置し、ハイペロン共鳴生成実験を開始した。出力磁場2Teslaの超伝導電磁石を用いることで低エネルギーの電子、陽電子対によるバックグランドを抑えることができた。また、ゲートワイヤーに電圧を印加することで、多量のX線バックグランドの影響を抑えタイムプロジェクションチェンバーを動作することに成功した。得られた測定データから、陽子、π中間子などのハドロンを確認することができた。現在、粒子の自動検出のための解析ソフトウェアを開発中であり、完了次第、大量の測定データからハイペロン共鳴生成の証拠となるK中間子を同定し、様々なハイペロン共鳴の性質について詳しく研究してゆく予定である。
|