2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学受容における神経情報処理とサーカディアンクロック
Project/Area Number |
03J05884
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岡野 恵子 電気通信大学, 電気通信学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 化学受容 / 味覚 / 嗅覚 / 一酸化窒素 / NADPHジアフォラーゼ / G蛋白質 / イモリ / クロキンバエ |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実績計画に基づき、昆虫の味覚受容における神経情報処理に関する解析を行い、下記の成果を得た。 これまでに、ハエ成虫の味覚受容組織(唇弁)において、レクチンのひとつであるPeanut agglutinin(PNA)が、味受容細胞の一部を特異的に標識することを見いだした。そこで本年度は、当研究室において培養方法を確立することが可能となったハエさなぎ唇弁の細胞において、各種レクチンを反応させた。その結果、concanavalin A(ConA)、wheat germ agglutinin(WGA)、soybean agglutinin(SBA)に関しては、突起を伸ばした味細胞様の細胞でも染色が見られたが、PNAはグリア細胞のみに染色された。このような、染色パターンの違いは、化学受容細胞の表面の糖鎖の分布が、発生ステージとともに変化したためと考えられた。 次に、クロキンバエの糖受容細胞における情報伝達機構を明らかにする目的で、成虫ハエの唇弁切片に対して、一酸化窒素合成酵素(NOS)が局在するかどうかを、NADPHジァフォラーゼ染色を用いて調べた。その結果、4つの味細胞のうち1つ、もしくは2つの細胞に強い陽性シグナルが検出された。電気生理学的な解析により、ハエの糖受容機構にNOおよびNOSが関与することが示されていることと併せ、糖受容細胞にNOSが存在すると考えられた。さらに、これまでクロキンバエ唇弁の糖受容細胞で機能していると考えられていたG蛋白質、Gqαに対する抗体を用いて免疫組織化学的な解析を行った。その結果、糖受容細胞ではなく、それを取り囲む支持細胞にGqα抗体陽性像が検出された。糖受容細胞の情報伝達に関して、味細胞と支持細胞の間で何らかの相互作用がある可能性が考えられた。
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